そこで、連休明けの混雑の少ない17日に、富山県高岡市の人気の観光スポット「雨晴(あまはらし)海岸」へドライブをかねて行ってきた。
雨晴海岸は万葉の歌人・大伴家持が訪れるたびに絶賛したところであり、その時の状景を詠んだ歌の数々が万葉集に収められている。写真は「渋谿(しぶたに)」と詠まれた波が洗う奇岩・岩礁の多い雨晴海岸で、ここは気象条件によっては富山湾越しに3,000m級の立山連峰も望める絶景スポットである。

JR氷見線雨晴駅。ローカル色いっぱいの雨晴駅は、駅名が雨が晴れて明るく好転するという縁起の良い駅として人気があり、遠来の観光客が多数訪れているという。下は駅舎の左手にある屋外案内看板。

5月中旬の今は、海に浮かぶ冠雪した立山連峰の絶景は見られないので、雨晴駅の掲示ポスターを撮る。この息を呑むような美しい絶景を見るのに適した時期は、空気が澄んでいる11月下旬~3月頃でよく冷え込んだ晴れた日だという。春先は黄砂などの影響や晴れていても大気が霞むことの方が多いようだが、春先でも雨が降った翌日などに綺麗に見られることもあるようだ。

雨晴海岸からの定番中の定番アングル、富山湾の女岩(めいわ)越しに立山連峰・剱岳(標高2,999m)を望む(富山県観光公式サイトの観光用ポスターより)。冬晴れの日に見られる、海上にそそり立つ立山連峰の雄大な眺めは比類のない絶景で、いつか、是非この目で見てみたい。

雨晴海岸には、道の駅 雨晴がある。2018年に完成した施設で、かなり綺麗な建物だ。展望デッキ、お土産屋さん、カフェ、インフォメーションセンターなどがあり、雨晴海岸の観光には必須の施設である。展望デッキからは遮るものがない開放的な景色が望める。

国道415号、JR氷見線の線路を渡ると右手すぐに義経社があり、その先に雨晴海岸が拡がる。義経社の石に刻まれた文字に時代が感じられる。

義経岩は別の名を「義経雨はらしの岩」という。文治3年(1187)に源義経が奥州下りでここを通りかかった時、にわか雨に遇う。その際、弁慶が岩を持ち上げ、その岩の下で家来ともども雨宿りをしたという伝説に由来する。奥州へ落ちのびる途中、にわか雨の晴れるのを待ったという岩であり、地名「雨晴」の由来ともなっている。義経岩の上には社が建っている姿が見え、たしかに下は空洞のようになっており、雨宿りができそうな感じで、これは自然が造った形なのだろう。

大伴家持は義経岩、女岩(おんないわ、めいわ)、男岩(おとこいわ、おいわ)など岩礁の多い雨晴海岸の絶景をみて、歌のいくつかを万葉集で詠んでいる。背後にはうっすらと立山連峰の山々が見える。

国道415号線沿いの展望所から見た女岩は、面積約400㎡、周囲約80mの小さな島だが、ここからの眺めもなかなかいい。

国道415号線沿いの展望所から見た男岩は、女岩から約800m南東にあり、面積1,100㎡、周囲約150mで女岩よりも大きい。

美しい雨晴海岸の浜と「世界で最も美しい湾クラブ」のモニュメント(道の駅雨晴内)。富山湾は2014年10月「世界で最も美しい湾クラブ」への加盟が承認されている。

『馬並めて いざうち行かな 渋谿の 清き磯廻に 寄する波見に』家持 【現代語訳】馬を並べて、さあみんなで出かけよう。渋谿のきれいなビーチに、寄せてくる波を見に行こう。
『わせの香や分入右は有磯海』芭蕉 【現代語訳】早めに実った稲の香りがするなぁ。この道を分け入って右に行けば、かの有名な有磯海だ。この歌碑は道の駅雨晴施設内に建立されている。

この「雨晴松太枝浜海水浴場」は、義経岩から北側約800mにある。美しい砂浜が波打ち際まで100mも続き、日本海沿岸屈指の遠浅が長さ890mも続く海水浴場で、広々とした白砂青松の浜を歩けば、女岩、男岩などの奇岩や遠くは能登半島や富山湾越しに3、000m級の北アルプス立山連峰を一望することができる風光明媚なロケーションにある。

富山県高岡市太田24番74 道の駅雨晴周辺のMAP