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 イオリ模型店に着く頃には午後8時近くになっていた。リエしゃんが入り口で立ち止まると、ユリアとルリにゃんに心配そうに聞く。


「みんな、家の人には遅くなるって言ってある?あ、ていうか帰りとかどうしよう~。さすがにあまり遅くなったらマズいわよね~」


「ユリアにゃら大丈夫にゃ~(°∀°)b 帰りはみんにゃを送ってもらうようにラルしゃんに頼んでおくし~。ラルしゃんの車は大きいから、みんにゃ乗れるにゃよ~」


「え?ラルさんて、あの青い巨星の!?そうか・・・ あの人にだったら何か教えてもらえるかも」


ユリアの言葉に、ルリにゃんがすかさず反応して言った。と、その瞬間入り口から、レイジとセイが出て来た。


「お前らこんなトコで何やってんだよ?なかなか入って来ないから、出迎えに来ちまったぜ。ほら、早く入った、入った」


「ユリアさん、お帰りー!!ちょうど今、ラルさんが委員長を送って行ったんだよ。まだ帰りの途中だと思うから、引き返してもらうね」


レイジが出て来ると、ルリにゃんはささっとリエしゃんの後ろに隠れた。セイは携帯で、ラルさんに電話している。


イオリ模型店の中に入ったリエしゃんとルリにゃんは、セイが作ったガンプラが飾られてる棚に注目した。


「こ、これって、イオリくんがみんな作ったの?さすがよね~、勉強になる」


「キット自体を大きく変えるんじゃなくて、基本工作を丁寧に仕上げてある・・・ まさにお手本にすべきガンプラ・・・」


リエしゃんが驚いてる後ろで、ルリにゃんが呟くように言った。


「セイのガンプラ見たきゃ、後で好きなだけ見せてもらえよ。それより腹減ってねぇか~?俺はなんか小腹が空いちまって」


「レイジはあれだけ夕飯食べたのに┐( ̄ヘ ̄)┌ あ、委員長は直ぐ来るって!それよりみんな、家の人には連絡してあるの?帰りはラルさんに送ってもらうようにお願いするから、帰りのことは心配しなくても大丈夫だよ」


みんなホッとして、家族に連絡を入れる。ユリアはなんか、自慢気にしているw


「レイジ~、肉まん出来たから、みんなにお出ししなさいって」


奥から肉まんを持って現れたのは、アイラ・ユルキアイネンだった。リエしゃんとルリにゃんはビックリした顔をして、レイジの方を見る。


「おお!!なんかいいタイミングだな~にこ丁度腹が減ってきてたトコだったんだよ」


レイジは嬉しそうに肉まんを掴むと、パクっと口に咥えた。


「まずはお客様にでしょ~?ああ、もー!!それ一つしかあげないからねー」




キッとアイラはレイジを睨むと、アイラも負けずに肉まんを食べ始める。


「わわっ!!分かったから、分かったから。はいはい、俺はお茶を持ってくるよ~」


レイジはなんか、このやり取りが嫌で、さっさと店の奥へと引っ込んだ。


「フィンランド代表のアイラ・ユルキアイネンが、何故イオリくんの家に!!それよりなんか、随分仲よさげだったけど」


「レイジとアイラさんは、うちに居候してるんだよ。レイジが世界選手権の最中、うちで暮らせばってアイラさんと約束して(;´▽`A``」


リエしゃんの言葉にセイは、事のいきさつを説明した。それを聞いたルリにゃんは、黙って俯いてしまった。


「それよりみんな、なにか相談事があるんじゃないの?さっき入り口で、随分困ってたから」


セイの言葉にユリアは、('-'*)(,_,*)('-'*)(,_,*)と頷いた。


「私達一ヶ月後に、デビューライブが決まったの。でも今日一日悩んでしまって・・・ 確かに初日から上手くいくわけ無いのだけど・・・」


リエしゃんはそう言うと、それ以上言葉が見付からずに困ってしまった。


「みんにゃに相談したらって言い出したの、ユリアにゃんにゃ。リエしゃんとルリにゃんが困ってるの見てたくにゃくて(´・ω・`)」


ユリアは2人が何に困ってるかよく分からないでいたので、いつものようにみんなに相談しようと思ったのだ。


「自分達で悩んでる事は、誰かに答えを出してもらうもんじゃないぜ。出せない答えなら、最初から考えない方がいい」


レイジはお茶を持って来ながら、話に加わった。そのレイジの言葉に、リエしゃんは俯いてしまった。


「ただいまー!!ニャハーお、みんな帰って来てるわねー♪なになに~、みんな暗いぞー!!」


スピカがリエしゃんとルリにゃんの頭をくしゃくしゃすると、お尻をパンと叩いた。


「きゃ!!あ、スピカさん、お疲れ様ですー」


2人とも反射的に、お辞儀をした。そういうのは嫌いなスピカは、軽く2人の頭をペシッと叩く。


「あんた達はも~、何落ち込んでるの?ライブのこと??誰にも最初はあるし、なんであれやるしか無いんじゃない?」


「2人の足を、私が引っ張ってしまって・・・」


スピカの言葉に自信なく答えたリエしゃんは、また元気なく俯いてしまった。


「セイ、私が作ってる、MGサザビーver.ka持って来て!!」


セイはすかさず、工作室へと急いだ。こういう時のスピカを、怒らせてはいけない。


「はい!!スピカさん、持って来ましたよ!!」


急ぐ事もない距離なのに、セイは急いでカウンターの上にスピカが製作途中のMGサザビーver.kaを置く。




「どういう意味か分かる?、リエちゃんもルリちゃんも」


スピカの言葉に、特別スゴい事のないガンプラを見せられて、リエしゃんとルリにゃんは困惑した。


「これはね、スピカさんが今出来る事を、苦労しつつも頑張って努力した結果なの」


後ろからコウサカ・チナが、ラルさんと一緒に戻って来て言った。ラルさんはニコニコしながら頷いてる。


「私達に色々聞いて試して、失敗しても諦めないで、もう少しで完成するの」


チナは続けて、ユリアとリエしゃんとルリにゃんに向けて言った。スピカはなんか、照れくさそうにしている。


「最初に箱を開けた時には、絶対無理って思ったけど、どうにかこうにかもうちょいで完成させられる。やると決めたらやるしか無いのよかお2


「でもファンのみんなに応えられるような、歌と踊りが出来ないと・・・・」


スピカの言葉に納得がいかないのか、ルリにゃんは反論した。


「ファンのみんな~??」


その場にいるみんなの背筋が、ゾゾゾーっとする。スピカはルリにゃんだけでなく、ユリアとリエしゃんにも向けて言った。


「あなた達が出来る事を、納得出来なくても出来てもやりなさい。その他のことは、他の人がやってくれる」


「は、はい!!!!」


ユリアは慣れているが、スピカの言葉に驚いたルリにゃんとリエしゃんは、背筋をビシッと伸ばして答えた。




つづくー!!