荒瀬和人と、堺広人の夢小説。
前回に掲載した『後悔』の続編。
後に、浅木美涼が登場する。


荒『ぐほぉっ』
堺の飛び膝蹴りが、顔面に直撃して荒瀬は倒れてしまう。
お互い、闘い疲れたのか?
息づかいが荒くなっていた。


倒れる荒瀬を立ったまま見下ろす堺。
もう闘う気力すら残ってなく仰向けに倒れる荒瀬。
堺も、ゆっくりと腰を下ろす。
荒『何やってんだ…。さっさとトドメをさせよ堺…。』
堺も疲れ果て、呆れた口調で荒瀬に話す。
堺『アホか?お前は、もう死んどるわ…。』
荒『何、バカな事を言ってんだ?まだ、俺は生きてんじゃねぇか…。』
堺『いや、間違いのぅ、俺はお前を殺したわ。』
荒『あん?』
堺『「麗奈」っていう女の亡霊は消えたんか?』
荒『何っ?』
堺『お前は、その女を好きで殺したんとちゃう。しかも、お前こそ本気になれば俺のドタマぶち抜けたやろ?何で、わざと軌道を外したんや?』
荒『馬鹿野郎、俺はお前相手に手加減するワケがねぇだろ?お前こそ本気になれば俺の首をすっ飛ばせただろ?何故、お前には殺意がなかったんだ?』


堺は、重たい腰を立ち上がらせてタバコに火を付ける。
堺『もういっぺん言うたるぞ。「錦山組」に囚われた荒瀬和人は死んだ。今、俺の目の前に居るんは殺し屋の荒瀬和人や。』
荒『?!』
堺『荒瀬、お前が「麗奈」っちゅう女に申し訳ないと思うんやったら一つだけ償いの道が存在するわ。』
荒『何だ?』
堺『麗奈さんと親交が深かった桐生さんに力を貸す事や。噂によれば、桐生さんや真島さん達は隔離された神室町でゾンビ達と戦ってるらしい。』
荒『何故、俺がアイツに手を貸さなきゃならねぇんだ?!』
堺『分かっとらんなぁ、お前は。大切な友達が殺されたっちゅうのに、何で桐生さんはお前を殺さなかったんや?お前の悲しい目を見てたんちゃうんか?』
荒『何言ってんだ?』
堺『気になって、錦山組の残党を探し出して情報を得たよ。ホンマのこと言うたら、お前は麗奈さんを殺してへんねんな。』
荒『……。』
堺『どうやら、錦山さんと心中しようとした麗奈さんが返り討ちに遭い。麗奈さんを逃がすように説得したが、錦山さんが麗奈さんを撃った。そうなんやろ?荒瀬。』
荒『ぐっ…!』
堺(そろそろか…。)
一瞬、暗かった空が眩い光で覆われる。
謎の声『荒瀬さん、もういいのよ。』
荒『誰だっ?!』
倒れている荒瀬の前に、シニヨンの髪型をした白いブラウスと細くて黒いスラックスの服の女性が立っていた。
かつて、桐生の情報を錦山に横流し、錦山と果てようとした悲哀な女『麗奈』であった。
麗『荒瀬さん、あなたは私を助けてくれた。私みたいなバカな女に逃げ道を作ろうとしてくれたわ。荒瀬さん、あなたは本当に優しかった。けど、そんなあなたにお願いがあるの。』
荒『何だ?麗奈。』
麗『一つは、いつまでも私の事を悔やまないでほしいの。二つ目は、桐生ちゃんを助けてあげてほしいの。』
麗奈の姿が、少しずつ薄くなっていく。
麗『あなたは、本当に優しかった。けど、私の為に苦しむ姿は見たくないの。お願い荒瀬さん、私の代わりに桐生ちゃんを助けてあげて。私と錦山君は、あなたと桐生ちゃんをずっと見守っているから。荒瀬さん、今まで本当にありがとう。』
辺りは真っ暗になり麗奈が姿を消す。
堺は、何事もなかったような仕草でタバコをふかす。


荒瀬はサングラスをずらして手で目を押さえる。
荒『ふぐっ、うっ、うぅ…。』
堺『(どうやら、マリファナの幻覚作用が効いたみたいやな。)』
堺は、マリファナの煙で麗奈の幻影を映し出した。
堺『荒瀬、気ぃ済むまで泣けや。誰もお前を咎めるヤツは居らん。せやけど、あん頃俺らが南アフリカで過ごした事を覚えとるか?地雷を踏んで足を負傷した子供を。』
荒『……。』
堺『今は故人やが、俺の雇い主やった冨沢愛もお前をボディーガードに雇いたがっとったで。お前は、周りから高く評価されとった。自分で自分の事を否定しても前には進まんで。』
荒『うぅっ…。』
堺『あとは、お前の心次第や。』


しばらくして、亡者達の呻き声は次第に大きく響きわたる。
疲れが落ちたのか?問題が解決したのか?
既に、荒瀬も堺も立ち上がりチャンピオン街の雑居ビルから出ようとした時。
屋上へ向かって走る音が聞こえる。
荒瀬と堺は、武器を構えていた。
ドアが『バーンっ』と開いた時、若い女の自衛官が現れた。

『OF THE END』のヒロイン、浅木美涼である。

浅木の部下達が亡者達の犠牲となり、必死に逃げて雑居ビルの屋上へ辿り着いた。
浅木は、すぐ64式自動小銃を構え荒瀬と堺に質問する。
浅『あなた達、一体何してるのっ?!』
堺『姉ちゃん、コイツと大事な話をしとっただけや。』
荒『もう、話は終わったよ。』
浅木は、質問を続ける。
浅『あなた達、今どんな状況か分かっているの?!此処は危険よ!!私と一緒に避難所へ行くわよっ!!』


堺と荒瀬は呆れた顔で答える。
堺『危険なんは、姉ちゃんの方やで。』
荒『貴様こそ、どんな状況か分かってねぇな。』
浅『何を言ってるの?!早くっ…』
とその瞬間、荒瀬は浅木を目掛けて拳銃を撃ち、同時に堺も浅木を目掛けてカランビットを投擲する。


浅『きゃっ!!えっ?!』
浅木の後ろにいた亡者二体の内、一体の額にカランビットが刺さり、もう一体は眉間を綺麗に撃ち抜いた。
浅木は、倒れた二体の亡者を見て驚く。
浅『えっ?!えっ?!』
動揺した浅木は慌てて二人の方へ振り向くが、浅木の前には二人の姿は消えていた。
浅『一体…、どういう事…っ?!』
荒瀬と堺の立っていた場所に64式自動小銃のマガジンが三つ置いてあった。
浅木は、そのマガジンの下に敷かれた書き置きを読む。
『公務お疲れさんやで。可愛い姉ちゃんにプレゼントや(笑)一緒に行動出来へんでゴメンやで。今度、会うた時は茶なとシバこ。』と書かれていた。
このタイトルは、荒瀬和人と堺広人の夢小説である。
時代背景は『OF THE END』となる。
吹き出しの前に、荒瀬は(荒)、堺は(堺)と入るので御了承を。


2011年春、隔離された神室町の一角。
荒廃した建物が並び、亡者達の呻き声が響く。
醉漢達が好む居酒屋が立ち並んだチャンピオン街。
その中にある雑居ビルの屋上で、赤いコートを羽織ったサングラスの男が花束を持って立っていた。

そいつの名は荒瀬和人。

かつて元陸上自衛隊の特殊部隊上がりで、戦いに飢えて各国の傭兵に所属しては幾多の強者達を地獄に送った男である。
傭兵の同期であった堺広人とカンボジア内争に出向き、目と足を負傷して日本へ帰る事となる。
その後、神室町で殺し屋として生計を取っていた所。
風間組の組長・風間新太郎と、その若頭・柏木修の目に止まり風間組に入る。
後に錦山彰が組を立ち上げるが、錦山がロクにシノギが出来ない為、風間から頼まれて錦山組に所属する。
それから、錦山の狂った生き方を止める事が出来ず当人も狂った世界に飲み込まれてしまう。


そんな荒瀬がフェンスに花束を置き、その花を見つめる。
荒瀬は煙草に火を付けて、そっと花束に話しかける。
『麗奈、すまなかった……。お前が錦山を愛している事は知っていた。しかし、俺は錦山の暴走を止める事が出来なかった。許してくれ……。』
荒瀬は俯き始める。


その後、荒瀬は花束に再度話しかける。
『麗奈、俺は今何をしたら良いんだ?どうすればお前は俺に微笑んでくれるんだ?お前に対する償いの道はないのか?教えてくれ麗奈。』
荒瀬は、溜め息をついて再度俯き始める。


荒瀬は花束を見つめ近況を語る。
『そういえば、少し前にお前のダチだった桐生とやり合ったよ。結局、俺が負けちまったがな。俺はアイツが嫌いだが、何故か?そんなアイツともう少し喋ってみたいと思ったんだ。不思議だよなぁ。けど、その後に「堅生会」っていう連中が来て。俺を堅気にしようと説得しに来たんだ。確か?伊吹、古川、何か黄緑色のぬいぐるみを着た変なヤツ。一瞬で場がしらけたな。しかも、一度この世界に入ってしまった以上は俺も堅気っていう肌じゃねぇ。ったく、どうしたもんだ。』
荒瀬は、花束に向かって苦笑する。


そして、風が『ビュっ!』と吹き亡者達の呻き声が大きくなっていく。
『クソっ、ゾンビどもが俺を嗅ぎ付けに来たか?』荒瀬は辺りを見渡す。


その荒瀬の背後に、ドクロのスカジャンを着た全身黒ずくめの男が立っていた。


『久しぶりやな、荒瀬。』と、スカジャンの男が話す。
荒瀬は、声が聞こえた方へ振り向く。
『堺か?何故お前が此処に居るんだ?』と、荒瀬は不思議そうにスカジャンの男に話す。


荒瀬が話している男は、後に『龍が如く7-時代を守る者-』に登場する4人の主人公の1人、関西出身の私立探偵・堺広人である。


荒瀬は堺の冷めた表情を見て、堺が何しに来たのか?瞬時に理解した。
荒『俺を殺しに来たのか?えぇ、そうなんだろう?』
堺『察しが早いなぁ、手短で済みそうやな。何で、お前は女を殺したんや?答えろ、荒瀬。』
荒『俺達が従った「傭兵の掟」か……。仕方なかったんだ。』
堺『仕方がなかったやと?!お前、本気でぬかしとんのか?!』
荒『バカか?お前は?いつまでも古臭い「傭兵の掟」なんかに従ってんじゃねぇぞっ!!何が、女は子を産み、戦士達の物語を語り継ぐだ!!青臭ぇんだよっ!!お前はっ!!そんなに俺を更正させたいなら、力ずくでも掛かって来いよっ!!』
堺『えぇやろう、第一の刺客が俺で良かったのぅ。死ぬ覚悟せぇやぁっ!!』
堺は、両手にカランビットを構える。
荒『一度、俺はお前と本気でやり合ってみたかったぜ!!』
荒瀬も、両手に拳銃を構える。


隔離された荒廃した街で亡者達の呻き声が大きく響く中、二人の戦士は激突する。
以前に、仲良くなった中国マフィア達と交流を深めて。
中国マフィアを介して、とある物を発注した。




そう、いつかまでは忘れたが
タイトルが『押収されたプラクルアン』と記した物と同じである。
よくタイの殺し屋達が愛用しているプラクルアン。
このプラクルアンの裏の油は若くにして亡くなった女性を火葬する際、ほんの少ししか取り出せない貴重な油である。
その尸体油に、桃の花、薬草、動植物の油等を混合させて道教の呪文と、南伝仏教の念を重ねて油を火で炙り、また、その中から出てくる純粋な油を絞り初めて『狐仙油』となる。
若く亡くなった女性の魂は『九尾の女子仙』となり持ち主を守る霊として働く。


警官や、マフィアに狙われ非業な死を向かえたタイの殺し屋達は最後に九尾の女子の手によって、安楽へと導かれると信じ愛用しているのである。
他に、この九尾女子仙は悪運、生命運に対して非常に強い。


また一つ、新しい宝物が出来た。


Hiro-Badguy