フランスに来てから何人かの先生に師事したが、そのうちの一人は、


「人生を勝ちとるために楽器を吹くんや!」


と豪語している。口癖は "音楽だけが全てじゃない" で毎日とても楽しそうに過ごしている。


もう一人の先生は日本人の学生に向けて公開レッスンなどをした後の質問コーナーで、


「先生はなぜクラリネット奏者になったんですか?」


などと質問された時に、


「音楽院でクラリネットを勉強するのと同時に大学で文学を勉強していたんだけど、音楽の方で先に仕事が見つかったからよ!」


とにっこり優しく答える。



高校生の頃を思い出す。



地元で活躍されていたイケメンクラリネット奏者が学校に指導しに来てくれたことがある。


レッスンの後、同級生が目をキラキラさせながら、


「先生はなんの曲が一番お好きですか?」


と尋ねると、


「ん〜、特にないかな!仕事だからね!」


と、髪をかきあげながら爽やかなスマイルで颯爽とお帰りになった。質問した同級生はポカンとしていた。



チーン「純粋な高校生のかわいらしい質問なんだから、もっと夢のある返事をしたらいいのに...」



当時高校生ながらそう思ったが、今思い出すと正直であっさりしていてなんだか好感がもてる。


日本の大学にいる時は "音楽に全てを捧げよ"
ではないけれど、もっと精神論がまん延していて、自分たちは "崇高で特別なことをしている" という思想も芽生えさせられた気がする。


フランスは日本と比べて公立の音楽院がそこら中にあり、音楽を始めるハードルがとても低い。クラシック音楽は日本人にとっては異国の文化であり、習うのに高いレッスン料もかかったりするのでそういった思考になるのも自然なのかもしれない。


それでも、あまり精神論に傾倒しすぎると心が不調になってくる。楽器奏者はアスリートだ。身体も心も元気な方がいい。


このくらいあっさりしている方が付き合いとしては健康的でいいよね、なんて思う今日この頃である。



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お月様