友達の台湾人夫婦の娘ちゃんのお守りをすることがちょくちょくある。
もう少しでやっと1歳。元気でバイオレンス。感情のスイッチの速さは大女優並ですくすく育っている。
お母さんが家を出る前、3人で過ごしている時は常に大騒ぎ。ベビーベッドに入れていると、そっちに混ぜろと号泣。何はなくとも叫んで泣く。
友達であるお母さんが、精も根も尽き果て血の気を失った顔色で「赤ちゃんって何考えてんのかまっったくわかんない...」とぼやくのに、「大丈夫!みんなわかんないよ!」と、なんの慰めにもならない返答をよくしている。何が大丈夫なんだか。
お母さんが出ていったら赤ちゃんと私の二人っきりタイムの始まり。
出ていった直後はとりあえず泣き始めるが、こちらも問答無用で楽器を組み立てる。
目を離していると生きているかどうか気になってしょうがないので、じぃーっと赤ちゃんを凝視しながら練習している。
この習慣は赤ちゃんが7ヶ月だった頃くらいから始まったけど、不思議なことに楽器を吹いている間はほとんど、全くと言っていいほど泣かない。
赤ちゃんがまだ座れもしなくて寝ているだけだった頃は、何が面白いんだか1時間でも2時間でも、眠くなるまでずっとパタパタ動く私の指を見続け、時折ひゃんひゃん高い声を上げて一緒に歌っているみたいだった。
最近はそこまで楽器を吹く私に興味を示さないが、吹いている間はとてもいい子にしている。
この前はコンサートでやるプログラムを通して吹いていると、満面の笑みで拍手しながら聞いてくれていた。
赤ちゃんに音楽を聞かせるのは、今後にどのくらい影響を与えるんだろう?
「題名のない音楽会」のMCをしていた指揮者の佐渡裕さんは、子供の頃からしょっちゅうコンサートに通っていたそうだ。
早くから才能を開花させている演奏家達も、親が音楽家だったから物心つく前から音に触れていたという人が多い。
私の演奏を定期的に何時間も聞かされているこの赤ちゃんは、もしや将来大音楽家になってしまうのか?
それとも続けなければ意味がなくて、物心つく前にこの習慣が終わってしまったら、浴びた音は記憶のブラックホールに吸い込まれ無となり塵となるんだろうか。
ものすごーく気になる。10年後20年後が楽しみだ。
もしビッグな音楽家になっていたら「わしが育てた」と吹聴してまわろう。
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