皆さんこんにちは!
今回は、『アスリートに発症する疲労骨折 シリーズ③ 前腕部 』 〜橈骨疲労骨折〜 についてお伝えします。
『橈骨疲労骨折』は
主に体操競技やバレーボールをしているアスリートで見られます。
アスリート以外でも重い荷物を持ち上げることや手作業の多い仕事をしている男性に発症することがあります。
他の疲労骨折に比べて非常に稀な疾患となっています。
発症年齢は成長期(13歳〜18歳)から成人まで幅広く受傷します。
症状は、前腕部の鈍痛や違和感から始まり、下の図のような動作時痛(前腕回内外、母指屈曲抵抗時痛)や圧痛が見られます。
腫脹をきたしますが著名ではないため気づかれないことがほとんどです。
臨床検査は、主にレントゲン検査を行います。
しかし、早期発見にはMRI検査や超音波検査も診断に有用です。
当院では超音波検査装置を用いて患部の状態を観察します。
橈骨の中でも下の図のように発症部位が様々あり、発症部位によって原因が違います。
鑑別疾患として「橈骨遠位骨端線損傷」があります。
「橈骨遠位骨端線損傷」は、主に体操競技をしている成長期の子供に発症します。
圧痛部位が疲労骨折と類似しているため間違えられやすい疾患となっています。
「橈骨遠位骨端線損傷」の場合、損傷の程度により固定が必要となってくることがあり鑑別が必要です。
最後に予後と治療に関してです。
基本的には保存療法で予後は良好です。
約4〜7週間で圧痛が消失し徐々にスポーツの強度を上げていきます。
その間、スムーズにスポーツ復帰ができるように患部外のトレーニングを行います。
当院での治療を紹介します。
①徒手療法・運動、姿勢指導・トレーニング
当院では「Joint by Joint Theory」を基に原因と考えられる筋肉や関節に対して治療を行います。
「Joint by Joint Theory」については下記のブログで紹介しています。
先程説明した、発症部位と原因の一つである「長母指屈筋」の筋緊張に対するストレッチを紹介します。
②超音波骨折治療
当院では、下図のような「オステオトロン」を使用します。
③固定療法
ほとんどの場合行いませんが動作時痛の強い場合に関してはギプス固定を行います。
『橈骨疲労骨折』は非常に稀な疲労骨折です。
前腕部の痛みが長期間減少しない場合は発症している可能性があります。
発症した原因を突き止め疲労骨折に準じた治療を行うことが早期スポーツ復帰には必要です。
以上が『アスリートに発症する疲労骨折 シリーズ③ 前腕部 』 〜橈骨疲労骨折〜 でした!!