今回は『成長期の子供のケガ シリーズ① 膝周囲の骨端症』〜オスグッド-シュラッター病〜について説明します。

 

『オスグッド-シュラッター病』とは脛骨粗面(すねの骨)に発症する骨端症です。

「Osgood病 坂田亮介」より引用

 

上の図の様に脛骨粗面(すねの骨)には膝蓋腱が付着します。

大腿四頭筋(太ももの筋肉)の収縮が膝蓋腱に伝達されます。膝蓋腱に伝わる力が脛骨粗面(すねの骨)に対して牽引力となり発症する子ども特有のスポーツ障害です。

 

『オスグッド-シュラッター病』は骨端症の中でも頻度が高く、

下図のように、13歳をピークに多くを見られ、男女別では男児では12〜13歳、女児は男児より1〜2歳早く発症します。

「外来新患統計から見た成長期下肢スポーツ障害の年齢分布 内山 英司ら」より引用・改変

 

レントゲンではこのように見られます。

「Osgood病 坂田亮介」より引用・改変

 

我々は超音波診断装置で実際に患部の状態を確認します。

 

このような方法も活用し、他の疾患との鑑別を行います。

 

症状は、ダッシュやジャンプ・しゃがみ込みなど大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)の収縮が起こると脛骨粗面(すねの骨)に痛みが走ります。

脛骨粗面(すねの骨)の圧痛や腫脹・熱感も見られます。

 

では、なぜ成長期のこどもに発症するのでしょうか。

 

それは、まだ骨が成熟する過程であり、成長軟骨は力学的ストレスに弱いからです。

 「整形外科大系」より引用・改変

 

上の図のように年齢によって骨の成熟が進みます。成長軟骨や骨端核が次第に成熟した骨になっていきます。

「日本スポーツ振興センター 成長期女性アスリート指導者のためのハンドブック」より引用

 

冒頭で言ったように、成長軟骨部は力学的ストレスに弱く、膝蓋腱の牽引により発症します。

 

では、発症する子供と発症しない子供の差はどこにあるのでしょうか?

今回は、原因として多くみられる2つの要素を紹介します。

 

1つ目は「筋肉の柔軟性低下」です。

牽引の原因である大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)の柔軟性低下はもちろんですが、

大腿四頭筋(太ももの筋肉)の逆の働きを持つハムストリングス(太ももの後の筋肉)の柔軟性低下も関係しています。

骨盤の後に付着するハムストリングス(太もも後の筋肉)が柔軟性低下すると、骨盤を後ろに傾かせる力になります。

骨盤が後ろに傾いたまま運動・生活することにより、骨盤の前に付着している大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)がより引っ張られるようになり「オスグッド・シュラッター病」の原因になります。

 

  

 

上の図のような簡単な方法で柔軟性がチェックできます。

 

 

2つ目は「体の使い方」です。

スポーツや日常生活動作での大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)優位な使い方をしているとストレスがより大きくなります。

 

1例が上の図です。

スクワットを行う際に股関節の屈曲角度(曲げる角度)が充分ではないと膝関節で代償しなければいけません。

その結果、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)優位な使い方をしてしまいます。

 

治療は、これらの原因である筋肉に対して徒手療法やストレッチに加えて、動きの改善を指導します。

症状が強い時(痛みが強い場合)はスポーツ中止せざる得ないですが、基本的にスポーツを行いながら患者様のサポートができるよう

どのような原因で発症したかを見極め、症状を抑え、再受傷しないよう治療を行います。

 

症状が強くならないうちに治療をすることをお勧めします!

 

次回も『成長期の子供のケガ シリーズ① 膝周囲の骨端症』についてお伝えします!

お楽しみに!!

 

平沢整骨院