幼い頃は母親の機嫌をうかがい

10代は中途半端な反抗期

心で反抗しながらも、不完全燃焼で終わった

 

一人暮らしを始めて物理的な距離ができてからは、母との衝突は少なくなった

たまに会うとうるさく言われることもあったけど、普段はそこまで気にならない

仕事やプライベートが忙しくなり、親に気を遣わず生活できるのは快適だった

実家に帰ると、一人の生活を心配して母に色々持って帰らされたり

留守中に来て買い置きしてくれることもあり、素直に有難いと思えた

普通に会話できることも増えた

母とは色々あったけど、もう大したことはないと思うようになった

結婚式の両親への手紙では心からの感謝を伝えて、お互い泣いた

もう大丈夫、母との関係はリセットできたと思った

 

そして子供を出産した

自分が親になってから、自分の子供の頃を思い出すようになった

例えば子供にイライラしてしまうとき

私はこのタイミングで母に殴られてたな…とか

子供が何か要求してきたとき

私はそんなに素直に要求できなかったな…とか

自分が母にしてほしかったことを当たり前のように我慢してたことに気付いた

周りのお母さんを見ていると、ちゃんと子供の気持ちに寄り添っていた

うちが普通じゃなかったんだ

 

子育てに悩むたびに色んな育児書を読んだ

そこに書いてあるのは、母のやり方と真逆のことだった

私は間違った子育てをされたんだ

私は失敗作だったのか

どの育児書にも

「子供の自己肯定感を育てるのが一番大事」

と書いてあるけど

親に自己肯定感が育っていなければどうすればいいの?

 

リセットなんてできてなかった

事実、大人になってからも母と喧嘩する夢を見て

泣きながら目が覚めることは何度もあった

まだ子供のままの自分がいた

 

自分に自信が持てない原因は、全て母の育て方のせいにした

もちろん愛情はあったと思う

でもそれ以外の期待や干渉や親のエゴが強かった

悩むたびに、心の中で母を責めた

 

今の母は孫を可愛がってくれるし、頼めば世話もしてくれる

今更母を恨んだところでどうしようもないのに…

 

一度、母にメールしたことがある

「どうしてあんなにきつく𠮟ったのか

自分がどれだけ辛かったか

子供を産んでから、昔のことが思い出されて辛い」

…という内容を長文で送った

 

母からの返事は

「どうしたの急に…

そんなに辛かったのね

辛い思いをさせて本当にごめんなさい

きっと私自身も劣等感が強かったのだと思います

私を許せない気持ちは仕方ないけど

今のあなたは、優しい旦那さんと可愛い子供がいる

過去を振り返るのもいいけど、未来のために前を向いてください」

…というものだった

 

謝ってはくれた

でも…

前を向け…?

わかってるよ!

前を向きたくてもがいてるよ!

でもそれをあなたが言う?

なんか釈然としなかった

 

やっぱり全てわかってもらうのは難しい

母ももういい歳だし

今、私や孫にしてくれることには感謝してるし

今更これ以上期待しても仕方ない…

 

やっぱりこれは私自身の課題でしかない