323 要介護認定の更新 | プレ介護アドバイザーはまじゅんのおしゃべりサロン

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8月のお盆休み、健太の家に集まった家族は、

宴会をして過ごした。

 

哲也と楓は自宅に戻り、みどりと渡辺さんも

帰った。浩介夫婦は駅前のホテルに泊まり、

明日君江のグループホームに颯介と一緒に

面会に行くという。

 

颯介と高橋さんは健太の家に泊まって、

まるで3世代の親子のように男同士の人生の

話を語り合った。

 

一度に大勢で面会に行くのは迷惑だろうと、

健太は浩介達の翌日に、みどりと一緒に

出掛けた。

 

高橋さんは、哲也と一緒に、仕事帰りに時々

会いに行ってくれている。

 

みどりと一緒にグループホーム輝きに着いた

健太は、前回6月末に会った時よりも、また

一段と母親の君江の症状が進行しているのを

感じた。

 

歩く速度が遅くなって、少しふらつくことも

あり、廊下の壁を支えにしながら移動して

いる様子だった。

 

会話はまだ出来ているが、おやつを食べる時

に、少しむせそうになる。

 

ケアマネのみどりは、帰り際に施設長の紺野

と少し話し込んでいた。

 

帰りの車中で、健太が聞いた。

 

「みどり、紺野さんと何を話していたんだ」

 

「よそ者のケアマネが口出すことではない

けど、そろそろ杖を使った方が良いのでは

ないですかって、ご提案をしていたの。

 

紺野さんとは、前のグループホームの時に

私の利用者さんがお世話になっていたから、

気軽に話せる仲なのよ」

 

みどりの人脈の広さに、健太は今更ながら

驚く。もちろん、知り合いというだけでは

なく、みどりの人柄もあって、色々と話の

出来る関係性なのだろう。

 

「頼りになるケアマネさんと知り合いで、

本当に心強いですわ」

 

健太がおどけて言った。

 

「健太、そう思ったら、今夜はステーキ

奢ってね!」

 

5日間のお盆休みのうち、カレンダー通り

のお休みのみどりとは、ずっと一緒に

過ごせるわけではない。

 

健太は、翌日ぽかぽかさんに挨拶に行った後、

早目に現場に戻った。

 

9月に入ると、少し暑さも和らいでくる。

 

富岡建設では室内の仕事がメインだった

鳥居は、現場で熱中症になりかけたことが

何度もあった。

 

「健太さんは、平気なんですね」

 

「俺は、若い頃は毎日現場で穴掘りしていた

からな。親父さんが、現場監督は一通りの

作業をこなせないと、職人さんの気持ちが

分からないからダメだって、

口を酸っぱくして言ってたもんだ」

 

「僕たちは、甘やかされているってこと

ですね」

 

鳥居の言い方に健太は笑った。

 

「それだけ富岡建設がでかくなったって

ことだよ。代わりに俺は、鳥居が抱えている

タブレットは、からっきし弱いからな」

 

ここの現場では、大手ゼネコンがIT化を進め

ていて、現場の状況も逐一タブレットで連絡

する。

 

健太は、鳥居のような人材がこれからは重要

だなと、改めて感じていた。

 

9月20日に、姉の楓から浩介の赤ちゃんが

無事に生まれたと連絡が入った。名前は秋に

咲く桔梗の花の色から「紫織 しおり」

と決めたと聞いた。

 

そして、10月で君江の要介護認定が更新に

なること、今回は進行しているので要介護3

が出るかもしれないという話だった。

 

「姉貴、お盆に行った時に、随分進んでいる

と思ったから、仕方ないよな」

 

「哲也がね、要介護3が出たら、すぐに特養

の申し込みをするようにって。哲也の法人は、

特養が2か所あるし、他の特養も色々と

調べてくれるって」

 

いつの間にか、「哲也君」が「哲也」に

なっているな、と思いながら、

健太は心強い義兄がいて安心だと思った。

 

楓は10月から、哲也の法人のデイサービス

で、パートを始めると言った。新婚生活も

4か月を過ぎれば、楓が家でジッとしている

訳はない。

 

変則勤務の哲也の負担にならないようにと、

パート勤務を選んだと言っていた。

 

「姉貴、若くないんだから、腰を痛めない

ように気をつけろよ」

 

健太は、姉が着実に自分の人生を生き始めて

いることが嬉しかった。

 

健太!  良かったね!

 

TO BE CONTINUED・・