「キャリア警察官僚」のなれの果て | 平野幸夫のブログ

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ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

「漂流政権」がまた醜態をさらした

。「朝、死刑のはんこを押す。昼の

ニュースのトップになるのはそうい

うときだけという地味な役職」など

と軽口を何度もたたいた葉梨康弘法

相がようやく更迭された。キャリア

の警察官僚出身でありながら、死刑

制度を軽んじたはての当然の報いで

ある。それにしても、前夜に厳重注

意で済まそうとした岸田文雄首相の

何という危機感のなさであろうか。

とてもこのまま国の舵取りを任すわ

けにはいかないという思いが一段と

募る。

いつかまた不祥事をおこすのではと

野党から疑惑の目でみられていた政

治家である。2008年の「ガソリ

ン国会」で若手の民主党議員の服を

破った「武闘派議員」であったから

だ。記憶に新しいのは2017年の

「森友国会」で、葉梨議員は、安倍

首相夫妻を告発した篭池泰典理事長

に対し何度もたたみかけるように質

問するなどして安倍首相に追従をく

りかえした。疑惑の中心人物だった

佐川宣寿理財局長に対し「恩を返し

てもらわないといかんねえ」とエレ

ベーターの中で圧力をかけていたの

が目撃されたこともある。

今回の発言の中に「外務省と法務省

、票とお金に縁がない。副外相にな

っても全然お金がもうからない。法

相になってもお金は集まらない、票

もいらない」と嘆く場面があった。

これこそ最も言いたかった本音では

ないか。確かに、法相というポスト

は、利権とは縁遠く、身内のパーテ

ィーで思わず本音を吐露したくなっ

たのであろう。金銭への執着ぶりは

、キャリア警察官僚出身でありなが

ら、パチンコ業界の新年祝賀会に出

席したり、運送業者団体からも政治

献金を受けていた。真に法相ポスト

を「不遇」と思っていたから、軽く

ぼやくたくなったのであろう。

しかし、「死刑のはんこ」などの軽

口は「人間の生存権を奪う究極の人

権侵害」(アムネスティー・インタ

ーナショナル)として制度廃止国が

増え、真剣に死刑論議を高める必要

が状況にある中、一層看過し難い。

葉梨法相は統一教会問題で関係省庁

連絡会を主宰していた。しかし、自

身が2008年、教団の関連団体「

世界日報」のインタビューを受けて

いた。過去癒着のあった大臣が本気

で被害者救済に取り組むとは思えな

い。BSTBSの番組で教団との関

係を問われ「知らないとか、忘れた

とか、一般社会でよくあること」と

弁明し、さっそく批判がわき上がっ

ていた。

今月初め、葉梨法相は統一教会によ

る霊感商法の相談件数が300件に

のぼったことを明らかにしたが、そ

の時弁護士に無料相談できる「法テ

ラス」に引き継ぐと表明していた。

直接国の窓口に寄せられた相談だっ

たのに、救済は民間に丸投げする判

断を下してしまい、国の本気度を疑

いたくなる。

岸田首相はG20のため外遊するが

、相次ぐ閣僚の辞任ドミノでますま

す「乱気流」に巻き込まれており、

さらなる内閣支持率低下は必至だろ

う。政権寄りの読売でさえ、内閣支

持率は過去最低の39%に急落した。

他紙と15ポイント以上高めにでる読

売の数字から推測すれば、もう20%

台を維持するかどうか、さらなる崖

っぷちに立たされているのではない

か。外遊帰りには党内から「岸田お

ろし」の声が公然と出ているかもし

れない。
   【2022・11・11】