ウクライナの惨状に気が滅入る日
々が続く。コロナ感染も収まらず年
度が変わり、少しは気分を変えた
くなって、神戸から京都・伏見の醍
醐寺に花見に出かけた。栄華を極
めた豊臣秀吉が最晩年に「醍醐の
花見」を催した寺の境内は、ちょう
どしだれ桜が咲き誇っていた。は
かなく散る花びらを見て秀吉は何
を思ったか。人の生涯ははかない
。年を重ねた自分も毎年春になる
と「あと何度花見ができるだろうか
」との思いが募る。今年は格別に
平穏日々へのいとおしさが高まる
。このブログではグラフフィックス
をしばらく控えていたが、「久しぶ
りに視覚だけでも遠出気分を味
わってもらえたら」と願って画像を
並べてみた。
持祈祷で現世利益を願う祈りの寺
でもあったが、時の為政者の興亡
とともに盛衰の歴史を歩んだとされ
る。国宝6万千点が保存され、19
94年にユネスコの世界遺産に登
録されており、お勧めしたいのは
霊宝館に保存されている薬師三尊
像(国宝)などの多彩な仏像群であ
る。それらの静謐な顔立ちに見入
るうちに、いつか気持ちを穏やか
になった。
こる。秀吉が「醍醐の花見」を催した
時に、自らが設計し整備したといい
、豪放なたたずまいは見て飽きない
。唐門は豊臣家の家紋「五七桐」と
菊のご紋が金粉で施され、格調高
くその栄華をしのばせた。
しだれ桜ばかりをみて、街のソメイ
ヨシノも見たくなった。地下鉄で京阪
三条まで出向き、近くの」高瀬川沿
いを歩いた。ちょうどカモのつがいが
浅い清流で仲良くえさを探しており、
ほほえましくて、ずっと見入ってしま
った。わずか半日だけだったが、し
ばらくコロナもウクライナも忘れさせ
てくれた。きっと何年後かには内外
の苦境の結末と共に「記憶に残る京
の春」として振り返るだろう。
【2022・4・4】
(写真は五重塔前、三宝館前のしだれ桜、唐門、高瀬川
沿いのソメイヨシノの順)



