「五輪貴族」増長させる首相 | 平野幸夫のブログ

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ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

政権転落の崖っぷちからもう落下

する寸前だ。毎日新聞調査によ

る菅内閣の支持率が過去最低の

30%になった。不支持は過去最

高の62%でダブルスコアである。

時事通信の調査は29・3%とこち

らも既に危険水域に足を突っ込

んでいる。陰湿な強権発動によ

って酒類提供の禁止を求めたこ

とへの反発が大きいが、「ワクチ

ン不足」と「五輪強行開催」など人

命無視の政権運営に起因する。

五輪まで5日、大義を見失い、不

信感ばかりが高まる大会に祝

祭気分はまるでわいてこない。バ

ッハIOC会長に媚びて、ますます

増長させる菅首相。大会期間中

、その姿を見せられる続けると思

うと、悪寒が走る。

東京赤坂の迎賓館での豪奢な歓

迎会を前にバッハ会長は、記者

に「緊急事態宣言下で適切か」と

聞かれ、「延期前から決まってい

た。我々はゲストでしかない」とば

つが悪そうに答えた。こんな場を

設けた菅首相や組織委にこそ、た

だすべき問いかけだったが、バッ

ハ会長には主催者としての自覚も

ない。費用はすべて血税によって

まかなわれことを参加者らは忘れ

ているようだ。

IOCは国連の機関でもなく、スポ

ーツ利権にまみれた「五輪貴族」た

ちが跋扈する特権クラブに過ぎない

。バッハ会長は改装されたホテルオ

ークラの最上階の1泊数百万円の

スイートルームをあてがわれ、我が

物顔で振る舞う。会長以下は、広島

、長崎を訪問したが何の心に響くメ

ッセージも発せられなかった。見せ

かけの「反戦ポーズ」は地元の被爆

者らから見破られ、「平和を利用す

るな」と抗議の声が上がったのはせ

めてもの救いだった。

看過できないのは、バッハ会長が

開催強行について「日本国民にリ

スクはもたらさない」と発言したこと

である。既に入国者らからコロナの

陽性反応が出ているではないか。

そのウガンダ選手団からは感染の

有無が分からない一人が行方不明

になった。連日数百人規模の選手

団が入国しているが、防疫体制は

穴だらけだ。

「バブルでしっかり管理されている

」という大会組織委のルールブック

は穴だらけだ。選手村や待機ホテ

ルではGPSによる管理が機能して

いない。選手やスタッフを監視する

人員を配置していないので、当たり

前のようにすり抜けられている。

メディア関係者に「出歩かないよう

に」と要請しても、取材を止めること

などできない。「隔離中は15分以内

の外出」など守られるはずもない。

母国でワクチンを2回打って入国し

た記者が「街に出歩く日本人は皆

ワクチンを打っているのか」と問い

返すのは当然だ。組織委はその質

問に答えられないはずだ。待機ホテ

ルでも一般客と入国者との区別が

なく、同じ食堂を利用するという苦情

が多く出ている。丸川珠代五輪相や

橋本聖子組織委会長がいくら「今後

は監視を徹底する」と釈明しても、

一向にその気配がない。

既に五輪の「バブル」は崩壊したも

同然である。それを無視して依然「

リスクを与えない」と言い放つバッハ

会長の傲慢さは、菅首相らによる

過剰な接待と供応に起因する。ど

んなに政権批判が高まっても、窮

地に追い詰められた菅首相は五

輪開催しか道がなくなった。

その道連れにされる国民はたまっ

たものではない。特に東京の感染

者は17日、ついに1400人にのぼ

り、8月に1日2000人超えが現実

になりそうだ。五輪後、もっと悲惨

な「メガ拡散」を指摘する専門家も

いる。こんな苦境から脱するには、

早期の内閣総辞職かも政権交代

しかない。支持率30%割れは、そ

の兆しを表している。一昨日の朝

日新聞川柳欄の句が有権者の思

いを代弁していた。

「待ち遠しお灸すえる投票日」
       (埼玉・田口尚孝)

        【2021・7・18】