東京都の感染者数拡大が止まらな
い。「夜の街」のせいばかりにし
て新たな規制に乗り出さない小池
百合子都知事。大阪では吉村洋文
府知事が大学のコロナDNAワク
チン開発の審査委員会前に、治験
の日程を勝手に発表、研究者らに
反発が広がっている。いずれも「
自分本位」からの言動だ。「やっ
ている感」ばかりの演出が際立つ
2知事に懸念が募るのは、国の無
策が背景にあるせいでもある。
既に形ばかりの「小池アラート」
の解除の時期が都知事選をにらん
だ自己的な政治判断から出たと以
前ブログで指摘したが案の定、そ
の心配通り3日連続で感染者数は
100人を超えた。それでも小池
知事は相変わらず「夜の街関連」
と「若者中心の感染」を強調した
うえで「他県への外出を控えてい
ただくことで、感染拡大を防ぐこ
とをお願したい」と願望を口にす
るだけである。優勢を伝えられる
都知事選を前に、行政の責任者と
して具体的な拡大防止策をまった
く打ち出さなかったのは、「何も
しなくても勝てる。都民に新たな
自粛を求めたくない」という思惑
が透けてみえる。
都の無策に心配が強まるのは、隣
接県と全国への波及からでもある
。もうすでにその兆候ははっきり
表れている。1日の全国の感染者
数は少し前には100人前後にと
どまっていたのに、200人超え
が2日連続になり、宮城、山形、
新潟など収まっていた県で感染事
例が相次いだ。記者会見で小池知
事は「感染拡大要警戒」などと書
いたボードを掲げるだけで、声も
弱々しい。ばつが悪いと思ってい
るのか。再選されることだけが自
己目的化しているように映る。
打算的行動が目立つ小池知事に比
べ、当初は素早い初期対応が賞賛
された吉村知事だが、ここにきて
、自分勝手な政治主導ばかりがと
突出する。以前からその強権的な
政治手法を危惧してきたが、早く
も不安があたってしまった。
大阪大初の製薬ベンチャー「アン
ジェス」の開発について、まるで
自分が主導しているかのように、
範を超える発言を繰り返す。国内
で初めて新型ワクチンの治験を始
めた大阪市立大学の審査委員会の
承認を待たず、その対象を「市大
病院と医療従事者が対象」と発表
、「9月に実用化、年内に10~20
万人単位で予防接種を実施する」
と日程まで言及した。「国内初の
ワクチン」という期待ばかりを先
行させ、研究プロセスと安全性を
無視する発言を繰り返すのは、「
手柄の横取り」にさえ見える。
大学内部から「医療より政治の話
になっている」という声が上がり
、安全性軽視に「拒否できるのか
」と困惑が広がっていると今朝の
毎日新聞が伝えていた。吉村知事
は橋下徹元知事が主導した市大と
大阪府立大を統合させた「大阪公
立大」の設立を実現させた自負か
ら何でも通ると思っているのかもし
れない。
民主的な手続きを軽視する強権政
治家の「本性を見たり」である。
従軍慰安婦像のある米国サンフラ
ンシスコ市と大阪市の友好都市提
携を一方的に解消したのと同じ万
能感からだろう。今回は医療関係
者の安全に関わる政治判断であり
、危険この上ない。
大阪公立大の英語名を大阪大と同
じ表示にしたのも吉村知事の政治
判断で、事前に阪大に断りもしな
かったという。阪大総長から見直
しまで迫られているのは当然だ。
その阪大が開発主体の新型ワクチ
ンの治験日程まで知事が口出しす
るのは、驕り以外何物でもない。
「分をわきまえない」為政者に信
頼は集まらない。いつか高転びす
るのではないか。
【2020・7・5】