気概と準備なき野党・メディア | 平野幸夫のブログ

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

また同じ繰り返しではないか。野
党のふがいなさやメディアの及び
腰が重なって、安倍政権の延命を
許した先の通常国会から約4カ月
。ようやく開かれた衆院予算委員
会審議を見て、既視感を覚えるだ
けだった。森友・加計疑惑に片山
さつき地方創生相のあっせん利得
疑惑などが加わって、攻め処満載
なのに、それをただす側は相変わ
らず材料不足が目立ち気概も感じ
られなかった。にやつきながら答
弁する安倍首相や麻生財務相は余
裕たっぷりの表情で、国会審議が
骨抜きにされていることを改めて
見せつけた。



今朝の朝日新聞政治欄の記事「訴
訟案件は武器。怖いものはない」
に目を疑った。片山氏が国会戦術
の一つとしてあっせん利得疑惑を
かわすため早々にスクープした文
春を相手取って訴訟に踏みきった
ことを官邸幹部が評価していた内
幕を冒頭に紹介していた。その幹
部の言葉をひきとって見出しにま
で同じ文言を掲げていた。どちら
を向いて記事をかいているのか。
後半、わずかに批判の声を紹介し
ているが、疑惑の核心に迫ろうと
いう気迫の欠片も感じない内幕記
事である。本来なら公権力の不正
を監視する立場から、疑惑を指摘
された側が訴訟を隠れみのに説明
する義務から逃げていることをま
ず指弾すべきではないのか。政治
部の記者が執筆したのだろうが、
地道な取材を積み重ね、森友・加
計疑惑で見事なスクープを放った
社会部記者らに顔向けできないよ
うな恥ずべき記事だ。


毎日新聞の3面「クローズアップ
」も国会での攻防を書いて、片山
氏側が十分説明できなかったこと
を印象付けたが、記事の末尾はま
だ始まったばかりの追及にふさわ
しくない「幕引きは遠そうだ」と
書いた。あたかも幕引きが前提の
ようなスタンスをうかがわせ、こ
ちらも疑惑の核心に迫る姿勢など
みじんも感じさせない


テレビ報道はこれ以上にひどい。
情報番組では政治から逃げて、権
力批判がまったくできなくなって
いる。昨日、テレビ朝日の「モー
ニングショー」に橋下徹氏を登場
させていたのに驚かされた。フェ
イク発言を連発して、大阪の府政
・市政を長く混乱させた挙句、首
相との近さを誇示しながら、自分
に都合の良い発言を繰り返す人物
に「自己責任論」を語らせるのを
見て、「テレ朝もここまで堕落し
てしまったのか」と思わせた。



一方、衆院予算委では、質問に立
った立憲民主党の逢坂誠二氏がま
ったく新たな材料を持たず、「(
訴訟でも)事実なら正当性を主張
すればいい」とぬるい追及に終始
していた。森友・加計疑惑追及で
も一体、4カ月間何をしていたの
だろう。加計学園のお粗末な教育
内容や経営悪化、値引きの根拠が
いまだに揺らぐ森友疑惑……。材
料はあまたある。かつてのロッキ
ード事件やリクルート事件では、
野党議員の独自調査を元にした追
及が真相究明につながった。今の
野党議員は一部メディアの既報を
なぞる質問ばかりである。政権の
閣僚らは事前通告を受けた質問に
余裕をもって追及をかわしている


もう「爆弾質問」は死語になって
しまった。追及する相手に有無を
言わせないくらいの物証や証言に
基づかなければ、追及される側は
痛くもかゆくもない。そして。だ
らだらと聞いてもいない答弁を繰
り返すばかりである。片山氏のあ
っせん利得疑惑では、税理士の私
設秘書ら関係者は多く、彼らを直
接説得して事実を明らかにするよ
う説得を試みたのか。世論調査で
野党の支持率が伸びないのは、有
権者が与野党のなれ合いを見抜い
ているからだろう。


不正の中心人物である佐川宣寿前
国税庁長官をいまだに「極めて優
秀な行政官だった」(麻生太郎財
務相)と持ち上げる答弁がまかり
通るような国会審議の閉塞感を打
ち破るには、野党やメディアの覚
醒しかないのである。


   【2018・11・2】