「森・加計・スパ」病巣は同根 | 平野幸夫のブログ

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

 

ようやく疑惑の核心に入ったと思
ったら、特別国会がきょう閉会し
てしまう。国会最終盤になって、安

倍政権の疑惑隠蔽工作が次々明
らかになった。新たに注目したい
のは、東京地検特捜部がこれまで
の汚名を挽回するように強制捜査
に入ったスーパーコンピューター
助成金詐取事件だ。逮捕されたの
はレイプ事件もみ消しを図った山
口知之元TBS支局長の大スポン
サー、斎藤元章容疑者である。事
件の手口は過大な水増し請求によ
る巨額の助成金取り込みだ。加計
学園の補助金詐取疑惑も建物の過
大見積もりが国会で追及されてい
る。土中のゴミ量を過大に操作し
て値引きした森友学園と合わせて
、いずれも安倍首相の威光が背景
にある。共通するのは捏造、欺瞞
、隠ぺい……その病巣は同根だ。
一連の疑惑は幕引きどころか、越
年は必至で、通常国会で追及を本
格化しなければならない。



それにしても、メディアの劣化に
は目を覆いたくなる。特にテレビ
は連日、角界の不祥事を天下国家
の大問題のようにワイドショーや
ニュース番組で取り上げ、ほぼ1
カ月が過ぎようとしている。当初
から「森友・加計疑惑」報道から
逃げたい放送界の政権への「忖度
」と指摘したが、見事に視聴者に
「洗脳効果」をもたらした。生活
に何の影響も与えない大相撲興行
の内輪もめを、さも大事件のよう
に伝えるテレビ局スタッフの頭の
中をのぞきたくなった。そこには
放送人としての誇りとか使命感は
皆無のようである。いつもながら
一番大事な時に、その責任を放棄
したような番組作りにあ然とする



あきれ返って、ネットによる国会
中継に目を転じたら、自らの国会
戦術の稚拙さによって質問時間を
大幅に減らされた野党が、それで
も核心に近づく追及をしていた。


このブログでは夏以降、ずっと加
計学園による補助金詐取疑惑は現
在進行形であると言及して続けて
きた。その手口の一端にふれて、
文科省を追及していたのが、無所
属の会の原口一博議員だった。今
治市に建設中の獣医学部棟の設計
会社「SID創研」の名を挙げ、
役員に加計孝太郎の妻が名を連ね
ていることを問いただした。事前
に刑事告発をしている今治市の市
民グループ代表からレクチャーを
受けていたという。その詳細に具
体名を挙げた追及に林芳正文科相
は時間切れを狙ってか、まともに
答えようとしなかった。



だが、これこそ疑惑の核心ではな
いか。鉄骨建てではありえない坪
単価140万円で課題に見積もり
、市と愛媛県から約50億円を詐取
しようとしているとの告発だ。第
二次建設計画では、坪単価が何と
210万円と常識外れの金額が計
上されている。こんな過大な見積
もりした設計費はトンネル会社「
SID創研」によって作られ、補
助金は中抜きされ、妻から加計孝
太郎氏の個人口座に入るという疑
惑だ。加計孝太郎氏は何の説明も
出来ず、逃げ回っている。最終的
に加計氏を証人喚問して説明させ
なければ、血税である私学助成補
助金がこのまま半永久的に加計学
園に入ることになってしまう。ス
トップさせなければ、被害者は納
税者である我々だ。



しばらくは一部新聞の調査報道に
期待するしかないと思っていたら
、昨日の東京新聞が新たなスクー
プを放った。獣医学部新設を審議
していた文科省の大学設置・学校
法人審議会の座長が、「認可しな
ければ訴訟リスクがある」と圧力
をかけられていたことを、複数の
委員が明らかにしたという記事だ
。この委員らは新獣医学部が国家
戦略特区認定の4条件をみたして
いないとも証言したといい、「認
可ありき」で審議が進んでいた実
態が新たに判明した。


驚愕したのは、ある委員が「4条
件を審査したら全員が成立するわ
けないと分かっていたのではない
か」と打ち明けたことだ。



認可の前提条件をまったく議論し
なかった不正を見逃すことはでき
ない。国家行政への信用が根本か
ら崩れる事態である。遅ればせな
がら、この点を参議院の連合審査
で杉尾秀哉議員が追及したが、林
文科相は「委員の発言は差し控え
る」と逃げた。



野党第1党の立憲民主党の辻元清
美国対委員長は6党による連絡会
を設置すると表明した。これまで
あまりに国会戦術が稚拙すぎた。
質問時間の削減をまず撤回させる
ことから始めるべきだろう。その
うえで、年明けは森友学園への国
有地払い下げで虚偽答弁をした佐
川宣寿国税庁長官、安倍昭恵首相
夫人、谷査恵子イタリア大使館一
等書記官、加計孝太郎理事長らの
証人喚問のため野党は一体となっ
て臨んでもらいたい。



今後、東京地検によるパコン事件
も展開を見据え、山口氏のレイプ
もみ消しを図った疑いが持たれ「
官邸のアイヒマン」と呼ばれる北
村滋内閣情報官と中村格警察庁審
議官(当時警視庁刑事部長)の国
会招致が必要になるだろう。高輪
署による逮捕状請求が裁判所で認
めながら、なぜ執行直前にストッ
プがかかったのかを明らかにしな
い限り、この国の女性の人権が踏
みにじられたままであることを恥
じなければならない。


   【2017・12・9】