延命許す勝負勘の欠如 | 平野幸夫のブログ

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。


安倍晋三首相はもうとっくに政権
から転落したはずだ。そうなって
いないのは、憲法の規定を無視し
てまで、ひたすら臨時国会を先送
りする「悪知恵」と勝負勘のない
野党とメディアの追及の甘さのせ
いである。「いつまで森友、加計
といっているんだ」という声が与
党から高まりつつあるが、疑惑発
覚後約半年が過ぎても、安倍首相
の国政私物化の疑いは晴れるどこ
ろか、一段と強まっている。問わ
れているのは、「政治の公正さ」
である。綱紀が乱れた政治は何を
成そうとしても、信頼できないの
である。今後もひつこく「モリカ
ケ」にこだわり、少しでも政治が
好転するシーンを見たい。



新聞各紙の政治欄は、栓が抜けた
ラムネのように、駄文ばかりが目
につく。象徴的なのが「首相、夏
休みのゴルフ封印」のような動向
記事だ。昨夏は渦中の加計孝太郎
氏らと5日間も別荘ゴルフに興じ
たのに、なぜプレーできないのか
を分析すべきで、休み中に判明し
た森友・加計疑惑に関わる新事実
について政権の釈明コメントも求
めていない。政治記者も夏休みを
取っているのかもしれないが、少
なくとも、加計学園が補助金詐取
を目論んだ疑いのある新獣医学部
の設計図表出は各紙とも扱いが小
さく、使命であるはずの政権監視
の気概はうかがえなかった。まさ
に政権の思う壺である。



一方、いつも厳しい批判をするテ
レビキー局の報道の中には設計図
を入手した今治の市民グループの
告発を真正面から受け止めていた
。テレビ朝日の「報道ステーショ
ン」、TBSの「ニュース23」は
いずれも現地映像、学者コメント
などを駆使、スッタフの本気度が
読み取れた。日本テレビも翌日後
追い、少なくともニュースバリュ
ーが判断できたのだろう。



フジ以外の民放に比べ、報道機関
の名を返上すべきと、思わせたの
がNHKである。早くからNHK
ディレクターT氏から取材を受け
た今治の市民グループ共同代表に
よれば、盆明けの22日の「クロー
ズアップ現代」で、設計図が示す
バイオハザードの危険性、建設費
巨額水増し、ワインセラーなどの
設置などを特報する約束をしたと
いう。それなのに、放送延期を一
方的に知らせてきたといい、T氏
と連絡さえ取れなくなったという
。通常国会中の前川喜平前文科事
務次官のインタビューを報道せず
。「お蔵入り」させたのと同じ、
視聴者への背信的な対応だった。
NHKが改めて政府広報機関に堕
した思いが募る。善悪の判断もで
きない振る舞いをするスタッフと
幹部だらけであることに、また言
葉を失う。



この国はもう民主主義国家でなく
専制主義国家ではないか。それを
許す、野党第一党の民進党の責任
は重大である。今こそ、許される
どんな手を使っても政権を追い詰
める時なのに、悠長に代わり映え
しない候補者による代表選挙を長
々と展開している。枝野幸男氏な
ら、まだ野党共闘に少しは期待を
持たせられるが、自民党と違いが
見えない前原誠司氏が有利という
。前原氏は安倍首相と同じ極右政
治家で核武装論者の小池百合子東
京都知事と国政新党をつくる可能
性を否定しない。小池氏は関東大
震災時に虐殺された数千人の朝鮮
人の追悼文を拒否し、その極右の
素顔を露わにし始めている。そん
な「前原・小池」タッグは、広く
みれば、自民補完勢力に寄与する
だけで、さらなる専制政治が加速
する予感を抱く。



この間、国会の外では炎天下、佐
川宣寿国税庁長官の辞任を求めた
一万人署名が寄せられた。国民に
ウソをつき続けた高級官僚の栄転
人事に「ノー」の声が収まらない
。怒りが火のようにたぎっている
。納税期間になれば、抗議する納
税者への応対に税務署員らを悩ま
しそうだ。国家運営の根本である
徴税業務がこれほど揺らぐのは、
初めてのことで、それだけでも内
閣総辞職に相当する。



約半年間、安倍晋三夫妻が深く関
わり、この国を揺るがせたった森
友学園と並ぶ加計学園の新獣医学
部の認可が昨日保留になった。10
月にまた判断が出されるというが
、わずか2カ月で問題点が片付く
とは思われない。漏出ウィルスに
よるバイオハザードの危険が払し
ょくできない。建設坪単価の算出
による数十億に上る補助金詐取は
積算データ上からも疑念が強まる
。野党は早急に共闘体制を組み、
臨時国会での集中審議を実現させ
なければならない。それができな
いなら、支持が広がるはずもない


  【2017・8・26】