経済失政、隠せぬ数字 | 平野幸夫のブログ

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。


「語るに落ちる」とはこのことを
言うのだろう。アベノミクスの破
たんを、どんなに批判されても認
めなかった安倍晋三首相も、もう
観念できないはずだ。先日公表さ
れた2016年の消費者物価指数
は99・7%と前年より0・3%下
落した。日本銀行が掲げる2%の
物価上昇率の達成はこれでまた遠
のいた。あろうことか、政府はこ
れを根拠に、公的年金の支給額を
4月から0・1%下げる。経済失

のツケをシニアの年金受給世代

つけ回すやり方に改めて憤りが

る。



正しい「語るに落ちる」の意味は
、問い詰められるとなかなか言わ
ないが、かってに話させると、う
っかり秘密をしゃべってしまうこ
とを指す。失敗を認めず「アベノ
ミクスは道半ば。これからさらに
ふかしていく」と年頭に発言した
安倍首相。その強弁もこの消費

者物価指数の前では、空虚な絵

空事に聞こえる。言う通りに今後

も推移すれば、年金削減幅拡大

などさらなる国民負担をもたらし

かねない。


既にアベノミクスの提唱者だった
浜田宏一・エール大学名誉教授は
昨年末、まったく好転しない経済

について、「原油下落や消費税率
の引き上げなど悪い作用を加速さ
せた。結果的にだめだった。考え
が変わったことは認めなければな
らない」と遅ればせながら釈明し
ている。理論的支柱が誤りを認め
たアベノミクスは土台が壊れたの

同然だろう。


新年度からの公的年金の削減は

安倍政権が昨年秋に強行採決し

た年金カット法案による基づく。4

月からの減額は0・1%。厚生年金
の満額受給者が月227円とわず
かにみえるが、厚労省の試算によ
れば、21年度からの新ルールによ
って、過去3年間の賃金変動率が
適用されると、0・2%の引き下
げでは国民年金が月125円、厚
生年金月437円減となる。年間
では厚生年金が6744円減とそ
のツケは看過できない大きさにな

る。



目の前に迫った家計の負担増大

に、どうして「NO」の声が有権者

から高まらないのか。消費増税

先送りの公約が目くらましになっ

て、どんどん進行している事態に

気づかず、国政選挙で与党を大

勝させていることが大きい。メディ

アも年金削減法案の本質を明解

に伝えず、「物価連動」「新ルール

」などと当たり障りのない見出しや

フレーズを並べた。有権者が我が

身に降りかかってくるであろう悪し
き内実を読み取る力に欠けていた
とも言える。政権や霞が関官僚は
容赦なく、その弱点を突いてきた
のである。


それでも心ある有権者はよく国会

審議をよく見ている。今朝の毎日

新聞朝刊(大阪)に安倍首相の答

弁姿勢を厳しく断じrる投書があっ

た。「質問に正面から答えない。自

説を強調し聞く耳を持たない。鋭い

判に感情的になる。殺し文句とし

『民主党政権時代の失政』をこと

るごとに取り上げ…」(71歳無職)

指摘していた。あえて付け加える

質問に「ふん」と鼻で笑い、小ばか

にしたような表情を何度見せられた

ことか。



日々の経済ニュースに目を凝らせ

ば、失政を示す動かし難い数字が

ある。導入から1年たった「マイナス
金利」という日本銀行の奇策もま
ったく功を奏していない。金融機
関が日銀の当座預金にお金を預け
るほどペナルティーを受ける仕組
みで、本来は銀行が企業や個人に
貸し出すお金を増やすのが目的だ
った。しかし、昨年秋の国内銀行
の貸出額は製造者向けが前年比で
2・8%ダウンだった。成長分野
が少なく、お金を借りて投資する
企業が少ないことを示しており、
ここでも日銀の政策効果は見られ
ない。それどころか、金融機関の
収益を悪化させている。



こんな失敗を糊塗し続ける安倍政
権はTPP(環太平洋経済連携協
定)でも見通しを誤った。日本の
農業分野や医療保険・薬品分野な
どに壊滅的打撃を与えかねなかっ
たTPPの破棄は、日本にとって
良かったが、今度は、明確な戦略
も持たず日米の2国間経済協力協
定に応じる気配が強い。


10日の日米首脳会談では就任前

にトランプ米大統領に媚びをうって

「信頼に足る人物」と早々と持ち上
げた安倍首相が、足元を見られて
押されまくる姿も目に浮かんでくる

。気に入られようと、自分の保身の

ために理不尽な要求に妥協を重ね

ないか気がかりである


      【2017・1・30】