枝垂れ花 名残りいつまで 賀茂
堤
行く春を少しでも長く惜しもうと
、京都・賀茂川上流を歩いた。すで
にソメイヨシノは散り始めていたが
、満開に近い八重枝垂れの下、川辺
でこれまでにない開放感にひたり、
1句浮かんだ。近くの京都府立植物
園では初めて見る珍種の桜が多く咲
き誇るスポットがあり、桃源郷にい
るような気分にもなった。京の桜は
寺社ゆかりの木々ばかりがよく知ら
れるが、同植物園から賀茂川べりを
抜けて世界遺産・上賀茂神社までた
どるこのルートを楽しむ人も多く、
これまでの京の花見のうちで、最高
の絶景を満喫できた。これからも毎
春足を運びたい。
地下鉄北大路駅から徒歩約10分の
賀茂川上流は、遠く北山の山並みを
展望でき、堤の両側は意外に枝垂れ
桜が多く、一面ピンクに彩られてい
た。今月中旬まで、まだ1週間程度
は十分楽しめそうだ。誰に聞いたか
外国人も多く、方々で感嘆の声を上
げていた。
以前から訪れたかった植物園はや
はり十分期待に応えてくれた。外国
では植物園に足を運ぶことにしてい
るが、これまで行ったロンドンの王
立植物園をはじめシンガポール、カ
ナダ・バンクーバーなどのイングリ
ッシュガーデンにひけをとらない。
英国式も一部踏襲しているようにも
見え、温室も展示も充実している。
枝垂れが多い桜林の前では、散り始
めたソメイヨシノの花びらがチュー
リップの花弁に雪のように降り注ぎ
、得難い趣を醸し出している。
桜林では特に白い八重の花弁を持
つ吉野枝垂や雨情枝垂れなどが特に
際立つ見事さだった。珍種の多さは
大阪造幣局の通り抜けを思わせる。
同植物園の賀茂川口から出て再び
川沿いに上賀茂神社までは約25分。
通り抜ける川面の風が心地良い。ち
ょうど式年遷宮の年にあたっていた
同神社は八重桜が多く、濃いピンク
の花々を付けた八重桜が目を引く。
5月12日の「神迎え」の神事で神幸
が下を通ることになる「みあれ桜」
には、咲き方にどこか気品さえ感じ
た。
北山駅から植物園に入ってもよく
、賀茂川口を出て上賀茂神社に抜け
る花見ルートは約2時間あれば楽し
める。
(写真は賀茂川から植物園、上賀茂
神社までの桜と花々)
【2015・4・8】




