お元氣様です。
松下幸之助氏は、経営の秘訣について質問を受けた時、次のように答える場合があるそうです。
『別にこれといったものはないが、強いていえば、“天地自然の理法”にしたがって仕事をしていることだ』(「実践経営哲学」より)
では、天地自然の理法とは何か。
“雨が降れば傘をさす”と述べていますが、少しピンと来ないかもしれません。
『実践経営哲学』において具体的な例をあげています。
“わかりやすい例でいえば、100円の原価のものを110円に売るということである。
100円のものを100円で売れば、利益がないから商売にならない。
だから、100円の原価のものは110円で売る。
あるいは120円が社会的にみて適正妥当な値段と考えられる場合には120円で売るということになる。
それが天地自然の理にかなった経営のいき方である。
さらにいえば、それを売るだけではない。
売ったならば、必ず代金をもらわなければいけない。
集金をしなければならない。
これもまた当然のことである。
そのように、私のいう“天地自然の理にしたがった経営”というのは、当然なすべきことをなすということである。”
読者の皆さんにとっては、至極簡単に思われるかもしれません。
たしかに言葉にすると簡単です。
でも実践するとなると難しいのです。
これが簡単であるのなら、世の中は年中景気がよく、倒産なんてありえないと思います。
簡単な言葉の中に含まれている経営の奥深さ。
一流の人は、非常に難しいことを、凡人に簡単に理解できるように表現することのできる名人かもしれませんね。