If there was a problem with my work, you should’ve spoken to me in private. You didn’t have to humiliate me in front of the whole office!

 

【should have spoken】

should はもともと shall の過去形として古英語で使われ、主節と従属節の時制を合わせるために用いられていました。しかし現代英語では過去の意味はなく、「何々すべきだ」「当然何々である」といった義務や判断を示す助動詞として使われます。たとえば “I should finish my homework.” は「私は宿題を終えるべきだ」と今の判断を示しており、過去とは関係ありません。ここで重要なのは、should はあくまで現在の話者の判断や気持ちを表しているということです。

 

それでは “I should have finished my homework.” について考えてみます。この文では have finished が「宿題を終える」という過去の行為を示し、should が「今、その行為が正しかったと判断している」ことを表しています。一見すると宿題は終えたように思えますが、実際には終えていません。ここでのポイントは、should+完了形は「現在の視点から、過去の事実や行為に対して、後悔している気持ち」を表すということです。つまり、文全体の意味は「宿題を終えておくべきだったのに、実際には終えていない」となります。日本語では「べきである」が過去形の「べきだった」となりますが、英語のshouldには過去の意味はなく、あくまでも、現在の視点からの判断を示しています。行為の対象は過去ですが、判断や気持ちはあくまで現在にあります。

 

同じ考え方で “You should have spoken to me in private.” を見てみます。have spoken が「二人きりで話す」という過去の行為を示し、should が「今、その行為が正しかったと判断している」ことを示しています。have spokenとなるので「話したのかも」と誤解しやすいですが、実際には話していません。文全体の意味は「二人きりで話すべきだったのに、実際には話さなかった」となり、自然な日本語では「二人きりで話してくれればよかったのに」と訳せます。過去の行為に焦点はあるものの、判断や気持ちは現在の話者に向けられていることに注目してください。

 

まとめると、should は現在の判断や義務を表す助動詞であり、完了形と組み合わせることで過去の行為に対する現在の評価や後悔を表す構造になります。should+未来志向の speak to も、should+完了形の have spoken も、どちらも現在の話者の判断や気持ちが出発点です。違いは、対象となる行為が未来か過去かという時間の焦点にあります。学習者は、should が現在の判断を示すことと、完了形が過去の仮定行為を示すことを区別して理解することで、should+完了形の文章も迷わず読解できるようになります。

 

【仮定法の文のかたち】

仮定法の文は、主節と条件節でできています。実際とは違うことを想像するときには、条件節で過去形を使います。過去は「今」から離れた形です。そして、現実と違うことを言うのも「今」から離れている感覚があります。この「離れた感覚」が共通しているので、条件節に過去形を使うのです。例えば If I were you, I would decline the vaccination.(もし私があなただったら、ワクチンを断るのに)と表します。

 

もし過去の事実と違うことを想像するなら、条件節では過去完了を使います。過去完了は「過去」からさらに離れた形で、実際の過去と反対のことを言うのにちょうど合います。例えば If I had been you, I would have declined the vaccination.(もしあの時私があなただったら、ワクチンを断っていただろうに)と表します。ここでは条件節に had been(過去完了)が使われています。ただし、日常会話では had been の代わりに過去形で言ってしまうこともよくあります。

 

今回の文 If there was a problem with my work, you should’ve spoken to me in private. は、「もし私の仕事に本当に問題があったなら、そのときは内々で言うべきだったのに」という意味です。ここでの was は仮定法ではなく、単に「もし過去にそういう事実があったなら」という直説法の過去形です。つまり、これは空想の話というよりも、「過去のことを責めている表現」なのです。

 

【日本語訳】

もし私の仕事に問題があったのなら、個人的に話してくれたらよかったのに。全社の前で私を辱める必要なんてなかったのに!