Anything less than constant surveillance would be as no surveillance at all.

 

Paul Auster, GHOSTS (1986)

 

Interpretation.

英文を読む上で、最も大切なことは、主語と動詞を特定することです。主語は文頭に来るのが基本ですから、この文章の主語はAnythingであるという予想がつきます。つぎに、動詞になる候補を探すと、動詞になり得るのかたちはwould beしかないことが分かります。この時点で、この文章の骨格は、Anything would beであることが分かります。Anything would beという文章を見てもピンと来ない人もいると思いますが、ここで、Anything will be fine.(何でもいいです。) という表現が頭に思い浮かんだら、しめたものです。ここで使われているwouldはwill(何々でしょう)をやわらかく、遠回しに表現した言葉である、という程度の理解にとどめて、英文解釈を進めることにします。

 

Anythingに続くless than constant surveillanceは、後ろから、Anythingを修飾しています。まずAnythingがあって、そのAnythingとは、どんなAnythingなのかというと、「常に行われる監視に満たない」、そんなAnythingであると言っています。つまり、Anything less than constant surveillanceとは、「常に監視をしていない様なもの」、という意味になります。

 

ここまで、読み進めると、Anything would beのwouldには「もし常に監視していないのであれば、何々であろう」という「推量」や「仮定」の意味があることがわかります。

 

そして、would beの後にasが置かれています。このasは「何々のようである」「何々と同じである」ということを表わすasです。何と同じなのかはno surveillance at allが示しています。noはnotを更に強く否定する単語で、at allは「全く何々である」「全く何々でない」ということを表わし、肯定や否定を強調する役割があります。no surveillance at allは 「全く監視していないこと」 という意味です。もし、anytime at allと言えば 「いつでもいいよ」 という意味になります。ジョンレノンがシャウトするビートルズの楽曲ですね。

 

つまり、この文章は「四六時中見張っていないのであれば、全く監視してないのと同じである」ということを言っているのです。