オンラインお見合い

【お見合い】29歳エンジニアさん①

 

【お見合い】29歳エンジニアさん②

 

【お見合い】29歳エンジニアさん③

 


の続きです。






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画面には、白い室内、小さめのベッドに枕、ぬいぐるみ、シンプルなタンスなどが映し出されている。








(女子の部屋だ・・・)







思い出してほしい。


付き合ってはないものの、

気になってる女子の部屋に、

初めてお呼ばれしたときのことを。





・・・そんな経験がない?







うーん。






すまん。






これ以上うまく例えられん。









なんかこう、脳内変換がんばって。







「・・・?」





「・・・と。

 そういえば、○○がお好きなんですよね」



「はい、そうですね。

 ○○は--」





引き続き、趣味や好きなものの話を聞いていく。

受け答えが柔らかく、テンポも早すぎず遅すぎず。



「えー? そうなんですか? 意外ですね。

 △△だと思ってました」



「ですよね。わたしも最初そう思ってました。

 それで--」



いつしか、笑い話も混じる。

緊張のせいか、

やや険しかったエンジニアさんも、

表情が柔らかくなっていた。





相変わらず、映ってるのは横顔だが。







あ。





もしかして・・・!






「ここで、残念なお知らせが」



「え? はい」




話の腰を折られ、キョトンとする。







「残り時間がもう、

 20秒切ってます」



「えぇー!!」









「またお話しできるといいですね」



とりあえず、こちらの気持ちをお伝えする。



「わたし〜--.〜=・」



うまく聞き取れない、

というか話せていないのか。




「では、今日はありがとうございました」



「こちらこそ! ありがとうございました」




制限時間ちょうどで退室。






しばらく会話の内容を反芻する。



まだまだ余韻が残っている。






迷うことなく、

「交際希望」を出した。





--【お見合い】29歳エンジニアさん、完--