前回



の続きです。







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ビデオ通話のアプリを立ち上げて入室すると、
相談所のものと思われるアイコンが表示された。




音声大丈夫でしょうかー?





仲人の方だろうか。

マイクとイヤホンの確認をして、問題ないことを伝えると、
一通りのオンラインお見合いの説明が始まった。





お時間30分で終了となりますので、
 時間になりましたら、お知らせに参ります




通常のお見合いは1時間前後だが、
オンラインのお見合いは
制限時間の関係上、短くなってしまう。




では、お繋ぎしますね




言うや否や、唐突に画面が切り替わった。



真っ白い部屋の様子が映し出されている。





画面中央には、丸顔の女性。

やや斜め向きに座り、上半身のみが見えているが
小柄なのがわかる。

カメラが別に設置されているのか、
視線がこちらと合わない。



はじめまして、HiMです。よろしくお願いします

はじめまして、エンジニアです。よろしくお願いします


両者、座ったままでお辞儀をする。


引き続き視線は合わないが、
やや表情が険しいように見える。



緊張しているのだろうか。






ふと、画面に表示されている自身の映像を見ると、

やはり部屋の中が暗く、
不自然に顔が浮かび上がっている。





控えめに言って、不気味だ。






あ。すいません、画面暗いですよね。
 こういうの初めてで・・・


うーん。こうかな。

と、苦笑いしつつ、
自分の体とスマホの位置を調節する。



なんとか、
顔の表情ぐらいは見える位置に落ち着いた。





こうして、

暗い室内に顔が浮かび上がっている男性と、

視線の合わない、やや険しい表情の女性


のオンラインお見合いが始まった。



--つづく