の続きです。
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残業が終わり、電車に揺られる。
携帯をみると、
・相談所からのメッセージ
・不在着信
の通知がきていた。
(電話・・・? 親からか?)
他には心当たりがなかったが--
(Eさんから電話?)
Eさんと電話をしたのは、
交際成立後のファーストコールで、
自分からかけたときだけだ。
Eさんとはお見合い後、
交際してちょうど1ヶ月ほどになる。
とりたてて美人というわけでも、
かわいいというわけでもなく、
価値観がすごく合うとかといったこともない。
しかし、なんとなく安心感はあった。
そろそろ真剣交際に進むべきか、
決断するような時期だ。
(・・・真剣交際の話かな)
もうすぐ電車が駅に着く。
ひとまず、相談所のメッセージを確認する。
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E様から、交際終了の連絡がございました。
理由は価値観の相違とのことです。
力及ばず申し訳ございません。
お手数ですが、
連絡先の削除をお願いいたします。
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画面から目を離せず。
一駅、通り過ぎてしまった。
そのまま駅を出て、一駅先の自宅へと歩く。
Eさんに電話をかけた。
「あ。HiMさん」
「こんばんは、Eさん」
いつもと変わらない声音に聞こえる。
「もう連絡がいってると思うんだけど
その・・・両親に反対されてしまって」
Eさんの両親の話はうっすら聞いていた。
不動産業、山を所有。
そんなワードで、色々と察しがつく。
両親、おそらく父親が反対なんだろう。
「なるほど、Eさんはどうなの?」
「わたしは・・・でも父が反対してるから」
「うん、そうか」
足を止め、空を見上げる。
雲間から月明かりが覗く。
反対を押し切って、
彼女とこの先に進むか?
「わかった。電話ありがとう。
それじゃ」
「うん、ありがとう。
ごめんなさい」
電話を切り、Eさんの連絡先を削除する。
Eさんを両親から切り離す--
そこまでの覚悟は、
まだできていなかった。
自身にも、
おそらくEさんにも。
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【CASE7:親の支配下】
CASE6に近い。
相当の覚悟を有するので、
一目惚れした相手でもなければ難しい。
プロフィールとしては、
・親の職業が不動産業や会社経営、大学教授
・家族揃って職業が医師、看護師、薬剤師
・家族揃って特定の有名大学卒
あたりが挙げられる。
---つづく