南アルプス核心部 荒川三山と赤石岳(その0)

 

7月18日に梅雨明け宣言が出て直ぐの週末にかけて、南アルプスの核心部の赤石岳と荒川三山に登りました。
 

(荒川三山の主峰悪沢岳(わるさわだけ)への稜線から見る右から赤石岳/聖岳/上河内岳とマツムシソウ)

 

南アルプスの最高峰は、北部にある日本第二位の高さの北岳(3,193m)ですが、昔この山脈を「赤石山脈」と教わったので、赤石岳(3,121m)がその盟主で隣の荒川三山(悪沢岳・3,141m他、赤石岳より悪沢岳の方が20m高い)や聖岳(3,013m)などを含めて、南アルプスの核心部と勝手に思っています。(実際には南アルプス南部の核心部)

 

荒川三山:

 

前岳、中岳、東岳の3つの峰をまとめて荒川三山と呼ぶが、いずれも3000mクラスの山で、雪をかぶったときは、遠く東海道線の車窓からでも、横一列に並んだ姿をはっきり見ることができる。この3つの山の中でずば抜けて目立つのが、地形図に東岳と記載されているピークである。一般的には東岳と呼ばず、悪沢岳で通っている山である。悪沢岳とは重量感がある名前だ。3141mの高さがありながら、三角点がないのがちょっと寂しい。


 山頂からは南アルプスの山々が一望のもとに見渡せ、時間を忘れさせてくれる。周辺には荒川小屋、中岳避難小屋、千枚小屋の3つの小屋があり、夏期には管理人が入り営業している。
 また千枚小屋から千枚岳、悪沢岳と中岳の鞍部南面、前岳から荒川小屋への下りは、広大なお花畑で、雪が消えると多彩な花々が咲き競う。
 南アルプス南部の核心部であるこの辺りの山へ入るには、それ相応の日数と時間がかかる。静岡からバスで畑薙第1ダムまで入り、ダムから林道を5時間ほど歩いて椹島泊。翌日、千枚小屋まで約6時間。悪沢岳往復は歩き方にもよるが、さらに3時間はかかる。

荒川三山を西から
・前岳(荒川前岳) 標高3068m
・中岳(荒川中岳) 標高3082m
・悪沢岳(別名東岳または荒川東岳) 標高3141m 日本第6位の高さである。

2023年8月改定(出典:山と溪谷オンライン編集部)

 

2年前に山梨県南アルプス市の櫛形山から雪を戴く南アルプスの峰々を見た時から、先ず北岳〜間ノ岳〜農鳥岳の白根三山、そして威風堂々とした山容の悪沢岳には絶対登りたいと思っていました。

 

(2022年11月、櫛形山から見た、悪沢岳(右)とその左後方に赤石岳)

 

白根三山は昨年天候/展望には恵まれなかったものの登頂できたので、今年こそは悪沢岳、そして隣の赤石岳へ登ろうと計画を練っていました。

 

場所は静岡県が大井川の流域に沿って南アルプスの真ん中を北にグーッと貫入した部分になります。揉めに揉めていた例のリニア中央新幹線が静岡県をかすめるあたりです。

 

 

下のオレンジ色の線の「荒川三山・赤石岳」モデルコースを歩きます。

 

行政区分上は、一応静岡市の中心部と同じ葵区のなかです。

 

 

 

 

山行は三泊四日でスケジュール的には余裕があるものです。(やや健脚者は大体二泊三日、スーパー健脚者は一泊二日、又は二泊で聖岳まで周る行程)

 

休憩時間込みコースタイムで計算すると:

 

 

計画データだけ見ると、ドキッとしますが、4で割って一日あたりで考えるとなんとかなるはず。

 

(後からこの計画の標高データをよく見ると、この反時計回りの周回コースは、トラブルのリスクが高い下りがより傾斜がきついので、時計回りの方がより安全に思われます。登りはより大変になりますが、自分のように下りの方が苦手な人には多分時計回りが良いでしょう。)

 

登山口は椹島(さわらじま)と言う大井川上流の山の中。

 

ここに行くだけで一日がかりです。

 

Day 0 (椹島へ)

 

自宅→新東名新静岡IC→安倍川沿いに県道を北上→富士見峠→井川→畑薙第一ダム臨時駐車場→(株)特殊東海フォレストのバス→椹島ロッジ

 

安部川流域からほとんど人家のない細いクネクネ道を果てしなく登っていく感じ。ダンプなどの大型工事車両も多く嫌なアクセス道でした。自分で車運転しているのに初めて吐きそうになったという女性の登山者もいました。


リニア工事に備えて、富士見峠の下にトンネル掘削中ですが、工事が本格化すると工事車両が増えて登山には行きにくくなる可能性があります。


やっと大井川流域へ超えていく富士見峠付近の風景:

 

 

 

 

小無限山:

 

 

大無限山:

 

 

富士見峠:

 

 

やっと辿り着いた井川湖と井川(いかわ):

 

 

秘境感溢れています。

 

 

井川ダム:

 

 

 

大井川鐵道井川線(南アルプスアプトライン)井川駅:

 

 

 一日数本運行していました。


 

 せっかくなので、暇つぶしに井川の観光でもと…


 

 龍泉院:

(集落は井川ダム建設で水没。この寺の創建は古いが、建物がオリジナルかは不明。)


 

 

 

 

 

 

 井川本村

 

 人気のほとんどない寂しい寒村。梅雨明けでここでも酷暑なのに「寒村」と言う表現がピッタリ。 


気のせいか、なんとなく違和感というか気味の悪さを感じる「現代の八つ墓村」とでも言いたくなりそうなところです。


 

 井川ビジターセンターは場違いな感じの建物


 

 

 (この看板はなかなかの出来上がり。上の白黒部分は、悪沢岳、赤石岳、聖岳。下の絵の部分は、荒川前岳下のお花畑から見る小赤石岳。聖岳以外の今回の登山のメインイベントが網羅されていて期待高まる!)



 昼飯に「わさび丼」。


少ないご飯の上に、鰹節、刻み海苔、わさびが少々。醤油をかけて食べます。小さなピーマンと茄子などの野菜天ぷら、短いダイコン・きゅうり・ニンジンのマヨネーズで食べる野菜スティックもどき、指先程の小さなジャガイモ煮付け、汁そば少々。


びっくりの内容。ここは多分食べるものにも事欠く村だったのではと感じるメニューです。


 

 

 

 

 

 

 

 

 更に奥、ゆるキャンの聖地で温泉がおすすめらしい白樺荘:


 

 更に奥。畑薙第一ダム手前の臨時駐車場にやっと着きました。ここからバスに乗り換えます。100台程停まっているそうです。


 

実はここまで静岡駅から静鉄がバスを運行しており、約3時間で着くそうです。普通の大型バスなので、あの細い道をよく運転出来るものだと感心ものです。


 このあたりから北の土地は全て、東海パルプなど大倉財閥関連企業の民有地。一筆の民有地としては日本最大の面積だそうです。地図の静岡県が北に飛び出している部分ほぼ全てです。



去年、北の間ノ岳の頂上に社有地の標識があったので驚いたのですが、大倉財閥の富の源泉の一つだったようです。材木を大量に切り出し大井川を下流の島田に流して製紙業を行っていたと。


登山者用バスに乗り換えます。無料ですが、社有地内の山小屋宿泊が条件です。テント泊だけでは乗車できないので、最低一泊は山小屋泊か、テント担いで自転車で登山口まで行く強者もいます。


 

 バスの中でもヘルメット着用。40人乗り。緊張感の為か皆ほとんど無言で山道を揺られて行きます。


 

 間もなく沼平ゲート。ここから先はマイカー規制(徒歩、自転車、電動自転車までは入境OKです。)


 

 土砂崩れしやすい斜面の補強工事中。数十メートル上には命綱一本で作業中の数名の作業員。


 

ここは早く工事終わって欲しいと運転手さん。危険な難所だそうです。


ここ数年の毎年の豪雨を見ると、ここを含めて山にアクセス出来なくなる事が将来的に増える可能性が高い。(登れるうちに登っておかないと)

 

 

 

 

 

 

 大井川。ダムの上流の水量は豊富です。


 

 一時間半足らずで椹島着。


 

 山小屋ではなく民宿スタイル。六畳和室の個室。エアコン完備。共同風呂まである。登山前に風呂に入るのは初めて。


大倉時代は800人が暮らしていたと。今の建物は中電の宿舎だったもの。


 

 

 

ここに2-3泊して帰っても良いか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大倉喜八郎


 東海パルプだけでなく、大成建設、サッポロビール、帝国ホテル、東京経済大学などが、大倉財閥と関係があったとは知りませんでした。(大倉集古館の名はあるのにホテルオークラはないのはホテルは息子の創立だから。)


 

 

 

立派な設備の割には、夕食はショボかった。ホテルオークラが怒るのでは?

 

 


 今日はグダグダしていますが、兎に角明日からいよいよ登山です。今回はるばる奥地に来たので、結構緊張しています。

 

 (続く)