昨年テナセリム地方の大型錫貨(錫・鉛貨)の図録を発行したベルギー人のコレクターより、新たなタイプを入手しました。(正確には彼の本を購入するついでに、一枚譲ってもらいました。)

 
鉛、75.01g/58.3mm, ref, VC 486.1.1.
 
表:トー(tò)と呼ばれる一部が鹿一部がライオンの伝説上の動物(右向き)。右から下にかけて文字と思われもの。
 
裏:ガルーダと思われる人物像。(このタイプは肩の上の翼が描かれていない為、単なる人物像にしか見えないが、関連タイプVC 485.1.1 (↓)では翼が明確に描かれている事から、同様にガルーダと推測されている。)
 

 

(出典:The Large Tin and Lead Coins of Lower Burma (including the Tenasserim Region) from the 14th to the 19th Century, Kris Van Den Cruyce, 2023, p. 103/Group IV)
 
ガルーダはミャンマーでは「ガロン」とも呼ばれ、ナーガの宿敵とされているそうで、ページの真ん中の民芸品のようなガルーダ像と比べるとコインのモチーフもガルーダである事が納得できます。(以前オークションの説明では疑問に思っていました。かなり漫画チックな表現ですし。)
 
このタイプは、VC485と486がそれぞれ一枚づつ米国のオークションで登場、高値で落札されていますが、今回のオファーでは、売り手はその情報を知っていた上で1/4程度の価格で譲ってくれました。ありがたい話です。
 
 
 
もう一枚、象のタイプ(↓)もオファーしてもらった中から目に付いたのですが、自分が保有しているものと比べてあまりにコンディションが良く買う気満々だったのですが、自身のものや彼が保有している個体と少し異なるバラエティーである事が、やり取りの中で判明してしまいオファー取り下げとなってしまいました。残念。
 
 
 
こちら(↓)は自分のコレクションの象タイプ:
 
 
比べて見るとオファーされたものが遥かに状態が良いのですが、見た目の印象が異なるので最初は戸惑ってしまいました。よく見ると、モチーフの細部がかなり異なるバラエティーだったと思います。コンディションの良さと、バラエティーの二点で絶対入手すべきだったのですが、もたもたしているうちに逃してしまいました。
 
更に、迷った挙句最終的に見送ったトー(tò)のタイプ(↓):
 
 
これは未保有タイプの中では欲しい一枚で、過去数年オークションで連戦連敗です。今回はコンディションが今一つなので見送りました。
 
いずれにしても、今回は珍しいタイプが一つコレクションに加わって嬉しい結果となりました。
 
 
 
尚、今回入手した図録は、改めて紹介したいと思います。
 
参考:
 
The Large Tin and Lead Coins of Lower Burma (including the Tenasserim Region) from the 14th to the 19th Century, Kris Van Den Cruyce, 2023

「The Coins and Banknotes of Burma」M. Robinson and L.A. Shaw

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