先週末ですが、「お宝骨董ハンター会」のKさんとEさんとお会いすることができました。

 

2-3年前のブログ記事にたまたま載せたビルマ経典の写真を見て、Kさんがコンタクトされて来て、「お宝骨董ハンター会」のライングループにも入れていただいていたのですが、コロナの中当時義母と同居していたため、お会いする機会を逃していました。

 

今回、このビルマ経典を入手されたい(専門的には「カマワザー」というものだそうです。)というご連絡をいただき、お会いすることができました。

 

 

(ビルマ経典・カマワザー)

 

20年以上前のシンガポール時代に、息子の買い物に付き合って入ったシンガポール・シティーホール近くのペニンシュラショッピングセンターにあった小さな骨董屋(メインは中国古銭)で、入手したものです。

 

私の現在の興味の中心はコインですし、このカマワザーは額に入れて飾ると(よく欧米人がやっていますが)見栄えはするのですが、狭い日本の住宅事情では持て余し気味。更に、一番大事なことですが、自身が専門知識も何もない為、興味を持たれている方の下にあるのが然るべきだろうという事で、喜んでお譲りすることにしました。

 

Eさんは以前アジアのコインの(貨幣展示室)を拝見させていただいていた方だったので、初めてお会いしてこの方が書かれていたのかとうれしくなりました。やはりアジアの古銭となると同好の士が少ないので、あれこれお話しさせていただく機会は貴重です。Eさんの収集範囲は私より遥かに広い為、折角お持ちいただいた不明銭については私の方から有用な情報を提供することはできませんでしたが…。

 

 

コイン収集のきっかけ:

 

尚、カマワザーは私自身のコインの収集にも少し絡むので、思い出話も少々:

 

シンガポール時代に東南アジアの骨董、特に仏像や仏教関係の文物に興味を持ち、いろいろ騙されながら少しづつ買い集めていたのですが、このカマワザーを購入した骨董屋が、コイン収集へ舵を切るきっかけになったところです。

 

この骨董屋の中に入ると、大きなお盆のようなものに前漢の「半両」がジャラジャラ無造作に入れてあって、確か一枚5シンガポールドル(当時のレートで350円程度)で、好きなものを選んで買えるというものでした。

 

当時古銭の知識は全くなかったのですが、前漢というと2000年以上前。そんな古いものが、数百円でいくらでも買えるという事に衝撃を受けました。早速20枚程選んで入手しました。これが、子供時代を除くと、初めて手にした古銭になります。

 

子供時代は切手・コインを集めるのが一般的な時代で、デパートの上の方の階には大体切手とコインの店があった時代です。お年玉を握りしめて(と言っても大した額ではないですが)買いに行っていました。但し、子供にとっては切手よりコインは高価なもので、コインには手が出せませんでした。子供時代は手が出なかったものに大人になって手が届くという事も、コインに魅力を感じた理由でしょうね。

 

この骨董屋のオーナーは、面白いことに大手の銀行員で、当時のシンガポールは、大昔の日本のように、土曜も出勤日の半ドン。よって、この店は毎週土曜の午後1時半ごろからしか開いていない店でした。

 

元々、オーナーの父親が始めた骨董屋を引き継いだだけで、本人は古銭にしか興味がないので、店にある骨董品は親父の代からの在庫で、週に土曜日だけ4-5時間しか開いていない店で骨董が売れるはずもなく、本人が興味のある中国銭を中心に細々と店舗とネット販売をやっている状態。

 

ただ、オーナーが気さくな人で、シンガポールのコイン収集家が土曜日毎にここに集まって、コイン談義を繰り広げるコインコレクターのサロンになっていました。

 

私も仲間に加わって、中国銭の収集からコインの世界に入っていきました。


骨董品の真贋判定に自分の能力知識経験では相当難しい事を何度も失敗して認めざるを得ない事 (コインでも真贋判定の問題は残りますが。)、


コインはある程度図録を参照にすれば、いつの時代のどこの物である事が比較的わかりやすい事、


場所を取らず保管しやすい事、


等が主な理由です。



 

ここで教えた貰った日本のコイン商やオークションでの入手がコイン収集のメインになったので、どちらかというとこの骨董店からコインを買う機会は最初の「半両」以外は殆どなく、後はいつも、日本で入手したものを売ってくれと言われる始末でしたが…。

 

この骨董店は古いショッピングモールの中ではありますが、シンガポールの中心街の大きなホテルの隣で、しかも入り口に近いグッドロケーション。流石に最後はオーナーも有効活用を考えて、骨董屋(コイン屋)は閉めて、賃貸に出すことになりました。

 

その時に骨董の在庫処分をするという事で、このビルマ経典・カマワザーと、中国の石彫り仏像、千と千尋の神隠しに出てきそうな意味不明の大きな石像等を購入したものです。(実は今でも後悔しているのですが、多分中国南北朝時代の北斉あたりの石彫りの比較的大きな菩薩坐像がカウンターの上に置いてあっていつも気になっていたのですが、「欲しいならお前が価格を付けろ」と言われて、真贋見極める力もなく、仮に本物であったとしても、余りにも安い価格をオファーするのも友人のような付き合いだったので失礼、逆に偽物だったらと躊躇して、購入できなかったことが心残りです。結局インドネシアの金持ち華僑が買って行ったと言う事でした。)

 

 

ペグー鉛銭

 

Kさんからは、ペグー鉛銭をいただきました。私も少し持っているものですが、ご本人はコインには全く興味ないという事なのでありがたくいただきました。

 

 

このペグー鉛銭は通常は伝説の水鳥(ヒンター)がデザインされているもので、そのモチーフのものは自身のコレクションとほぼ同じものです。

 

しかし、よく見るとこぶ牛カエルのモチーフのものも混ざっています。これ実は私も以前タイ北部メーサイのヤクザっぽいオーナーの骨董屋で入手していました。

 

当時はメインが仏像関連で、コインの収集も始めた初期。仏像メインのオーナー(このオーナーの自宅に招待されたとき、彼の寝床はマットレスを床に直接敷いてその周りにずらーと20体程の仏像が取り囲んでいるかなり不気味な部屋でしたが…。)ですが、コインはないのかと聞いたら、家の屋根裏のようなところからボロボロのプラスチックバックに入ったコインを出してきて、その様子から本物に違いないと興奮しながらいくつか選んで入手したもので、非常に安く一枚100バーツだったような。

 

しかし、彼のところを後にしてゴールデントライアングルのお土産屋で同じものが50バーツで売られているのを見つけてしまいました。持ち帰ってからよく見るとあまり古いもののようには見えず、これはスーベニアクラスのものだろうと判断していました。

 

今回いただいたものは、Kさんがペグー現地で入手されていて、こぶ牛とカエルのモチーフ以外のものは見た感じ本物だと思われます。そうなると、この2種類だけが贋物というのも確率的には低いかもしれないと思い、もう少し調べることにしました。

 

 

このように並べて見ると、同じ型から作られたものではなく、金質も少し違うように思われます。

 

(左:自身のもの、右:今回いただいたもの)

 

(左:自身のもの、右:今回いただいたもの)

 

並べて見ると、全く同じものではないことが分かります。

 

調べているうちに、自身のものはやはり贋物ないしさほど古くないギャンブルトークンか子供のおもちゃ、今回いただいたものは本物ではないかという気がしてきました。


根拠がないので真贋不明という事ではありますが…、一応欧州のペグー鉛銭を研究して本の執筆を準備しているコレクターに写真見てもらいましたが、黒の判断ではありませんでした。(彼のコレクションも白っぽい鉛銭ですが、水鳥(ヒンター)以外のこぶ牛やカエルを含む多様なモチーフがあり、水鳥(ヒンター)でないから贋物と言う訳ではなさそうです。)

 

あらためて、KさんとEさんには御礼申し上げます!


参考:

The Coins and Banknotes of Burma, M. Robinson & L. A. Shaw


テナセリム地方 1 | アジア古代コイン (ameblo.jp)

テナセリム地方 3 | アジア古代コイン (ameblo.jp)

 

(終わり)


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