北アルプス・黒部川源流域(その2)

 

(前回から続く)

 

三日目 雲ノ平

 

三俣山荘三連泊で、中二日のうちの一日目。

 

天気は雨。気分ダダ下がり。山小屋の方と相談して、天気が良くない日に鷲羽岳に登っても、展望なければ意味ない。雲ノ平は多少天気が悪くても池塘が点在する風景を楽しめる。雲ノ平山荘はおしゃれでくつろげる山小屋なので、山小屋でのんびりすることもできると。

 

雨雲レーダーでは、遅い時間程天気が回復する予想なので、他の登山者とだべりながら雨が上がるのを小屋で待った後、朝9時半頃出発し雲ノ平を目指すことにした。

 

出発時間が遅くなったので、片道3時間強かかる雲ノ平小屋を目指すものの、午後4時くらいには戻れるよう、行けるところまで行って引き返す計画。最悪、途中のスイス庭園ぐらいまでは行きたい。

 

今日のルート(青線):

 

雲ノ平地図(出典:ヤマケイオンライン 一部改変)

 

黒部川源流に下って、黒部川を渡渉、そして祖父岳山麓を登り返すアップダウンはあるが、全体的に距離・標高差共に大きな困難はないルート。

 

小屋を出発すると、予想外に天気が好転。青空が見えてきた。しまった、もうちょっと早く出るべきだった。

 


 

 

黒部川源流の向こう(西側)は、祖父岳(じいだけ)。きれいな山容。

 

祖父岳(じいだけ):

 

北アルプス最奥の中央部に広がる高原、雲ノ平の南東端に鐘状に盛り上がっているのが祖父岳。標高2,825m。祖父岳火山といわれ、雲ノ平はその活動で流れ出た流動性のある溶岩台地である。乗鞍火山帯に属し、雲ノ平北麓の高天原には温泉も湧いているが、噴火口などははっきりしていない。


 山頂は平坦で石英安山岩の破砕片で埋まり、大きなケルンが積まれている。展望のすばらしい、のびやかな頂だ。


 西から南へと雲ノ平の山裾を削って黒部川が回り、鷲羽岳から祖父岳にかけてがその水源になっている。お花畑の斜面から大黒部峡谷が始まるのを実感できるのは、すばらしいことである。


 登山コースは折立コースが太郎平小屋経由で所要12時間、新穂高温泉コースは双六岳、三俣蓮華岳経由で所要10時間30分。

(出典:ヤマケイオンライン 一部改変)

 

この山は、雲ノ平や周辺の峰々の眺望が素晴らしいはずだが、寄り道せずにまず雲ノ平の中心部を目指すことにした。出発が遅すぎたのが返す返すも残念。

 

 

谷底に降りると、黒部川源流地標。

 

 

 

黒部川源流を渡る。上流を見て右(東側)が鷲羽岳、左(西側)が祖父岳の斜面で、その間から黒部川が始まっている。

 

 

と言っても、かなりの水量。実はこの上流に黒部川最初の一滴という場所があるそうです。

 

 

鷲羽岳側(東側)の斜面

 

 

 

谷の上方に本当の源流地域が見えます。

 

 

 

祖父岳のすそ野を回り込むように道は登って行きます。祖父岳も角度によってかなり山容が異なります。

 

 

 

 

 

反対側(南西側)は、黒部川の谷を挟んで、黒部五郎岳(2,840m)とその特徴のカール(氷河によって削られた圏谷)。

 

 

 

遂に、雲ノ平が見渡せる場所に。雲ノ平山荘が小さくポツンと。背後はどっしりと薬師岳(2,926m)。

 

奥地に来たな~という雰囲気満点です。

 

 

 

 

右手前に水晶岳(2,986m)、左奥に赤牛岳(2,864m)を見ながら木道を行きます。

 

 

 

水晶岳

 

 

名前負けしない美しい山容。

 

 

そして、赤牛岳。

 

 

牛の背に似て、赤っぽい山容だから、赤牛岳だろう。

 

 

 

 

 

高原に池塘が点在。(昨日までは水不足で乾ききって底にひび割れ入っていたそうです。)

 

 

 

 

 

 

スイス庭園

 

 

 

 

 

 

 

雲ノ平山荘まで、後10分~15分ですが、ここでタイムオーバー。後ろ髪を引かれる思いで、引き返します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本庭園から見る黒部五郎岳。

 

 

 

日本庭園から見る三俣蓮華岳。右奥は笠ヶ岳(2,898m)。

 

 

 

三俣蓮華岳(みつまたれんげだけ)は、飛騨山脈にある標高2,841mの山。長野県、岐阜県、富山県の三県境に位置する。古くは立山七十二峰の1つに数えられてきた。山域は中部山岳国立公園に指定されている。日本三百名山に選定されている。

 

三俣蓮華岳はほぼ飛騨山脈の中央部に位置する。比較的なだらかな山容で東側に圏谷地形(カール)があり、高山植物が咲き乱れるお花畑の豊富な山として知られる。とりわけ双六岳との間の巻き道は花が豊富である。

 

(出典:ウィキ)

 

 

再度、黒部川源流の渓谷に降りる手前で、鷲羽岳の側面、鷲羽岳~ワリモ岳~岩苔乗越の稜線を眺める。

 

明日、天気が好転して、あの稜線を歩けると良いがと思いつつ、よく見ると鷲羽岳から先は、岩稜地帯のようでしかも結構アップダウンと距離があるとの思いを抱く。(これが翌日の判断に活きることになろうとはこの時は思わなかったが…。)

 

 

 

 

 

岩苔乗越から、黒部川源流に沿って谷間を降りてくるルートも見える。

 

明日天気が良ければ、鷲羽岳山頂から稜線をワリモ岳、岩苔乗越と進み、余裕があれば水晶岳まで行って、帰りはこの道を戻ると、黒部川源流の最初の一滴も見れるはず。

 

 

 

 

 

再び黒部川源流を渡渉。もう一登りで山小屋。

 

 

 

 

今日は、予想外に天気に恵まれ雲ノ平を一部ではあるが楽しむことができた。

 

天気が悪かったせいか、殆ど人に合わず、池塘が点在する紅葉の始まった高原と、それを取り巻く特徴のある峰々(それらの中、4峰、鷲羽岳、水晶岳、薬師岳、黒部五郎岳、が日本百名山)と織りなす風景が秘境感満点だった。

 

やはり、雲ノ平はいつかゆっくり再訪しよう。

 

明日も天気が良くなるような気がするが…。

 

(続く)

 

祖父岳 (じいだけ):2,825m - 山と溪谷オンライン (yamakei-online.com)

三俣蓮華岳 - Wikipedia

鷲羽岳 (わしばだけ):2,924m - 山と溪谷オンライン (yamakei-online.com)

 

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