古代インド 2 アヨーディヤ又はシャーキヤ(Ayodhiya or Shakya (Narhan-Chirand-Muzaffarpur culture))PMC

 

古代インドのPMC(パンチマークドコイン)の一番バッタ-ですが、実は良く分からないものです。

 

購入時は、アヨーディヤーという事でしたが、最近はNathan-Chirand-Muzaffarpur Cultureとされていますが、調べても何のことか分かりません。出土地の地名を冠した文化を指しているようです。

 

他のサイトでは、シャーキヤ国としてNathanホードとしているところもあります。

 

とりあえず、このようなものです。

 

AR 32 Mashaka, Narhan-Chirand-Muzaffarpur cultureCirca 440-400 BC. 6.47g/28.7mm x 15.7mm, ref. ATEC 2194.

 

中心の大きめのペレットの周りを三日月とドット型のものが5個取り囲んでいます。この部分は深く窪んでいて、強く打ち込まれたと考えられ、その裏側は盛上って凸っています。周りにはいろいろなシンボルが打たれていますが、重なり合っているため、オークションでも簡単にその他のシンボルと書いてあるだけで、詳しいことは分かりません。マーハージャナパダのPMC群と比べると、厚みがかなりあります。

 

カブールホードの説明では、PMCはシンプルなものから複雑なものに発展したとの推測が示されていることを紹介しましたが、これはかなり複雑なPMCなので、それに従えば時代は比較的新しいという理屈になります。しかし、作りの素朴さや個人的なフィーリングは、マーハージャナパダのPMC群より古いものではないかと根拠なく思っています。

 

中心のシンボルの三日月とドット型のものが四個のものもあります(↓)。形状も四角に近いものから、このように細長い物まで色々です。二つほど、同じタイプと思われるものを参考までにアップします。

 

(参考)

 

INDIA, Early northern trade coinage. Narhan-Chirand-Muzaffarpur culture. Circa 440-400 BC. AR 32 Mashaka (6.59 g). Uniface cut ingot with four crescents around central pellet within circle and uncertain figural punchmarks, as well as a “C” shaped shroff mark

出典:ウィキ(File:India Early northern trade coinage. Narhan-Chirand-Muzaffarpur culture. Circa 440 400 BCE.jpg - Wikimedia Commons

 

 

(参考)

 

INDIA, Early northern trade coinage. Narhan-Chirand-Muzaffarpur cultureCirca 440-400 BC. AR 32 Mashakas (7.03 g). Uniface cut ingot with punchmarks: five pellet-in-crescents around central pellet and numerous others / Blank. ATEC 2194. EF, as made.

出典:CNG

 

 

尚、アヨーディヤーはガンジス川中流のコーサラ国の首都で、インド古典の代表的叙事詩「ラーマーヤナ」の主人公ラーマ王子の出身地です。ヒンズー教の五大聖地のひとつに数えられる歴史の非常に古い町です。そういった意味では、コーサラ国のPMCではないかともいえるのですが、コーサラ国のPMCとは全く異なるものです。アヨーディヤーという意味は、多分コーサラ国が発展拡大してマーハージャナパダとなる前のより小さな国だった時代のものという位置づけだと思います。

 

一方、シャーキヤはコーサラ国の北東、現在のネパール南部に位置し、釈迦(ゴータマ・シッタールダ)の一族が収めていた小国ですが、コーサラ国に侵略されその版図に組み込まれる運命にあるところです。ブッダが活躍した時代は諸説あるようですが、もしかしたらブッダの時代の釈迦族の貨幣なのかもしれません。あくまで可能性というだけですが。

 

 

見にくいですが、地図上赤で囲みました。

 

古代インド十六大国(Mahajapadas)とその他の国家(Janapadas)紀元前500年頃

出典:ウィキ(Mahajanapadas_(c._500_BCE).png (1000×771) (wikimedia.org)

 

 

尚、ガンダーラのPMCやベントバー銀貨以外のいわゆる一般的なインドPMC銀貨は、今回の例のように錆もなくきれいなものが殆どです。出土後磨いてきれいにされているのかもしれません。

 

参考:

アヨーディヤー - Wikipedia

Ayodhya - Wikipedia

釈迦族 - Wikipedia

古代インドコイン1 十六大国時代 概説 | アジア古代コイン (ameblo.jp)

インド古代コイン 1補足 カブールホード(Kabul Hoard) | アジア古代コイン (ameblo.jp)

カダンバのハヌマーン金貨 | アジア古代コイン (ameblo.jp)

 

(続く)

 

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