自宅以外の建物を持っているとしたら、それをどう子供たちに相続させるかについて、考えておかなければ「なりません。

 

 相続対策のために、持っている土地の上にアパートを建てている方もおられます。

また、老後の資金対策として、物件を購入し、マンション経営をなさる方も増えています。

 

 ここに2棟のマンションを経営される方がいます。

相続人となる方は3人います。

 家賃収入あるので、出来れば子供に相続させたい気持ちはあります。

 しかし2棟を3人で分けるとなると、当然揉めてしまいます。

問題は多いにありそうですね。

 

 そのうえ駅から近い方が、収益性が高いこともあります。

もう一つのマンションは、駅から少し離れています。

たびたび空き室が出ます。

 

 そうすると、たとえ二人の子供で一つずつマンションを相続することになったとしても、誰がどちらのマンションを引き継ぐかで争いが起こってしまうかもしれません。

 

 家賃収入がある賃貸物件を相続させる時は、土地の評価額に加え、収益性も問題になってしまいます。

揉めずに分割することが難しくなります。

 

 また3人で共有することはどうですかです。

しかし「共有名義」にしますと、結局は子供たちの代で、誰のものにするをいずれ決めなくてはなりません。

 次の世代では、権利者も増え、ますます揉めてしまいます。

 

 自分が利益を享受してきた不動産であっても、それがそのまま子供に引き継いでもらえるとは限りません。

 そのまま相続させることで、揉め事を引き起こしてしまうこともあり得ます。

 

 「自分が死んだ後は、マンションを売って現金化してから三等分してもらう方がいい。自分は家賃収入で助かったけれども、子供も同じようにできるとは限らないだな」と考えてしまいますね。

 

 また、アパートなどの経営自体を嫌がる子供もいるかもしれません。

 特に、金融機関から融資を受けて物件を購入し、借金を返済しながらアパート経営をしているケースでは、これまた難しいものがあるかもしれません。

 

 将来的には安定した収入につながると思っても、子供はどうでしょうか。

 「リスクがあることはやりたくない。収益が上がらなかったら、借金が残るだけ。」と言うでしょう。

 

 不動産に関しては、親と子の価値観の差が、揉め事の原因になることも多いのです。

 どのような不動産に価値があると思うかなどは、世代によって違いがあります。

 価格が不安定な不動産よりも、現金の方を相続したいという人も多いのも現実です。

 

 自宅にしても、持ち家がいいに決まっている人もいれば、賃貸物件の方が自分にとっては、魅力的だと考える人がいることも事実です。

 

 お金は誰にとっても一定の価値を持っています。

一方不動産は、必ずしもそうではないということでしょう。

 

 不動産に関する価値観について、親子間でギャップがないかどうかを探っておくことも、相続の準備では大切なことの一つと言えましょう。

 

 

     平 成 30 年 11 月 24 日

        行政書士  平   野   達   夫