相続に生命保険を利用できるからといって、大部分の財産を生命保険にして、1人の相続人だけを受取人にしたとしたら、それは「特別受益」とみなされます。
特定の相続人だけが、多くの財産をもらっている場合、公平性を保つために、その相続人がすでに得ている財産を「特別受益」として加味したうえで、遺産分割をすることができます。
「特別受益」になるのは、特定の相続人だけに贈与されている場合などが多いです。
たとえば、「かかった学費」に焦点があてられるケースがあります。
兄と妹がいて、兄は大学院まで進学し、海外留学もして、その費用をすべて親に出してもらっていたとします。
一方、妹は高校を出てすぐに働き始めました。
妹からすると、「お兄ちゃんは、さんざん学費でお金をかけてもらっているんだから、相続財産を均等に分けるのは納得いかない」ということになりますね。
ここで妹が弁護士などを立てれば、この学費を理由に金額交渉が始まることなりかねません。
この他に、自宅を購入する時に、親に頭金を出してもらっている場合なども、「特別受益」になる可能性があります。
親としては、これまで色々な場面で、子どもに資金の提供や経済的な援助をしているケースもあることでしょう。
特にその割合が多い子供がいたとしたら、注意することです。
援助したその分を考慮して財産の配分を考えませんと、あとあと相続の際に、兄弟姉妹で揉めることになるかも知れませんね。
平 成 30 年 3 月 24 日
行政書士 平 野 達 夫