前回に続きます。

 

 そして父が亡くなりました。

この時点での相続財産は、自宅が2000万円、現金が4000万円です。

 

 この一次相続の時に、「配偶者税額軽減」の制度で相続税が発生しないからといって、母がすべての財産を相続してしまうと、二次相続の時に相続税を納めることになる可能性があります。

 

 そこで、一次相続の時点で、息子が自宅を相続します。

この時に「小規模宅地の評価減」の制度を利用します。

 

 これは、前に配偶者が相続する場合にも使える制度として紹介しましたが、課税対象となります自宅の土地の相続税評価額を80%下げることができます。

 

 息子がもともと親と同居しており、引き続き同居するとしますと、自宅の評価額は400万円となります。

このケースでは、息子が自宅を相続しても税金はかかってまいりません。

 

 息子が別途受け取る、死亡保険金1000万円は、もちろん非課税です。

更にこのケースでは、分割すべき相続財産とはみなされません。

 

 一方現金の4000万円は、「配偶者の税額軽減」を使用して、母親が相続します。

1億6000万円までは非課税ですので、税金はもちろん発生しません。

 

 ただし、税務署への申告は必要です。

これで、一次相続を乗り切ることができました。

 

 

 

      平 成 30 年 1 月 10 日

               行政書士  平   野   達   夫