税金対策としてまず思いつくのは、「相続税がかからないように、生きているうちに子どもにお金をあげる」ということでしょう。

つまり、「生前贈与」です。

 生前に財産を贈与して、相続財産を減らしておけば、相続税を限りなく少なくすることができるということです。

 

 贈与にも「贈与税」がかかります。

この贈与には、相続税と同様に「基礎控除額」があります。

1人あたり贈与を受ける額として、年間110万円までは贈与税がかかりません。

 

 皆さんの中にもお子さん名義の口座を作り、その口座に毎年110万円ずつ振り込んでいる方がいらっしゃるかも知れませんね。

 

 ただし、このような贈与の仕方では、節税したつもりが、いざ相続をする段階になって税務署から贈与とみなされず、最終的に相続税の対象になってしまうことがあります。

 

 このように毎年お金をあげることを「暦年贈与」といいますが、ただこれを成立させるためには、双方の「合意」が必要です。

「贈与しました」「贈与してもらいました」と、お互いが合意しているということを証明しなければなりません。

 

 口座が子ども名義であっても、通帳や印鑑、キャッシュカードを親が保管していることがわかりますと、合意がないものとみなされます。

すなわち、贈与は成立しないのです。

 

 このような預金は、「名義預金」と呼ばれ、贈与した者の財産として相続税がかかることになってしまいます。

 

 「名義預金」と判断されやすいケースとしては、次のものがあげられます。

 

・「贈与契約書」が交わされていない

 

・子どもが、自分名義の口座があることを知らない

 

・子どもが口座の存在を知っていたとしても、親が通帳や印鑑を管理している

 

 これら当てはまるものがあれば、みなさんが行っていることは、正式な「贈与」として認めてもらえないかも知れません。

 

 

    平 成 29 年 10 月 15 日

          行政書士  平  野  達  夫