金融機関の「遺言信託」を使う必要がなくても、「遺言書」を作っておくこと自体には、大いに意味があります。


 たとえば、被相続人に長女と次女の2人の相続人がいたとします。

相続が開始して、もしその長女と次女が、「それぞれ法定相続分の多額の金員」を要求するようなことがあれば、その現金を用意しなければなりません。


 時には、遺産の土地のほとんどを売却して現金化しなければならないこともありましょう。


 もちろん、土地売却を避けるために、法定相続人による「不動産の共有」ということも考えます。


 しかし、この共有の選択肢は、ご承知のように、後々問題の火種となります。


 したがって、相続財産に不動産が多い場合には特に、「遺言書」を作成しておくことが大切です。


 だからといって、その遺言の「執行」まで準備する必要はありません。

むしろそれは、「行き過ぎ」と言えます。

余計なコストもかかってまいります。


 すなわち、ここで遺族の全員が合意すれば、被相続人が作成した「遺言書」と異なる「遺産分割」も可能です。


 その「予知」を残しておくことの方が、いいかも知れませんね。

将来的に見て、「遺産分割」を円滑にするだけならば、被相続人による「遺言書」の作成で十分とも言えましょう。



     行政書士  平 野 達 夫

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