子供もいなくて、親もすでに他界している場合、被相続人に兄弟姉妹がいれば、「配偶者とその兄弟姉妹」が法定相続人となります。


 これが、よくトラブルのもとになります。

資産家でなくとも、ごく一般の家庭でもありうるトラブルのケースといえます。


 ここで実際によくある事例から見てみましょう。

サラリーマンのAさんが、55歳で亡くなりました。


 35歳のときに、一戸建てを買いました。

やっと、住宅ローンを払い終わったばかりでした。


 Aさんには、子供がいません。

両親も亡くなっています。

Aさんには、兄が1人いました。


 兄は、遠方に住んでいて、Aさんの奥さんとは、結婚式以来、ほとんど会ったことはありません。


 その兄が、「弟の自宅の4分の1は、自分が相続する権利がある」と主張してきました。


 突然のことで、奥さんは、驚きました。

確かに、法定相続の取り分は、そのようになっています。

結局話し合いはつきません。


 仕方なく、奥さんは、ローンが払い終わったばかりの住宅を売ることになりました。

その売ったお金の一部を、兄に渡すことになりました。


 このようなことを避けるためには、一般的には、「遺言書」が有効な手段になります。


 被相続人が、生前に、「全財産を妻に譲る」旨の遺言書を書いておくことです。


 兄には、「遺留分」があるのではないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。


 しかし、兄弟姉妹には、「遺留分ない」という民法の規定があります。


 前述の「全財産を妻に」という遺言書があれば、兄は全く反論できません。

一部の相続を主張することはできません。



      行政書士  平 野 達 夫


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