自分のことや、その周囲で起こっていることが正しく理解できなくなりますと、行動がちぐはぐになってきます。

必然的に、支障がでてまいります。


 ここで、「徘徊」を例に原因を探ってみましょう。


例① 図書館で数時間過ごすのが日課のAさんです。

ある日、いつもより2時間ほど遅く出かけたため、暗くなった帰り道です。

道に迷ってしまい、夜遅く疲れ果てた姿で自宅に戻ってきました。


例② Bさんは、日曜日の朝、通っている教会に行こうと自宅をでました。

ところが、迷子になり、昼過ぎにとぼとぼと家に戻ってきました。


例③ Cさんは、夕方になりますと遠くの郷里に帰ると言って、たびたび家を出て行こうとします。ある日、介護者の方が目を離した隙間に出て行き、行方不明になってしまいました。

翌日、思いがけない場所で保護されました。


例④ Dさんは、妻と買い物の途中、行方不明になりました。

二日後に、遠く離れた町で保護されました。


例⑤ Eさんはいつも、家の中でも外でも、じっとしていないで歩き続けます。

人や物を押しのけ、突き飛ばしても、とにかく歩きます。


 ①②の場合は、場所の見当障害が原因です。

Aさんは昼間、周りの風景が見えれば、大丈夫です。

明るいうちに、帰れるように工夫すれば、1人でも活動できるでしょう。


 Bさんの方は、もう少し進んでいるようです。

送り迎えのボランティアが必要かも知れません。


 ③のCさんの症状は、脳の活性が徐々に下がってくる夕方に、場所や時間の見当障害が深まってしまったようです。

昼寝などして、夕方の意識をはっきりとさせることも一つの方法です。


 ④のDさん、⑤のEさんの場合は、認知症が進行しているようです。

常に誰かが、見ていないといけません。

介護者の方の支援を必要とします。


 以上、「徘徊」といってしまえばそれまでですが、原因を考えてみますと、その対応策も自然とでてくるのではないでしょうか。


      行政書士  平 野 達 夫 

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