「見当識障害」は、「記憶障害」と並んで、かなり早くから現れる障害といわれています。
「見当識」とは、現在の年月や時刻、また今自分がどこにいるかなど、基本的な状況を把握することをいいます。
まず、時間や季節感の感覚が薄れてまいります。
時間に関する見当識が薄らいでまいりますと、たとえば、長時間待つとか、予定に合わせて準備することができなくなります。
何回も念を押しておいた外出の時刻に、準備できなくなります。
更に進んでまいりますと、時間感覚だけでなく、日付や年次までに及びます。
何回も、「今日は何日か」などと質問します。
季節感のない服をきることもあるようです。
そして更に、「自分の年が分からない」などということも起こってまいります。
これが進行すると、迷子になったり、遠くに歩いて行こうとします。
初めは方向感覚が薄らいでも、周囲の景色をヒントに間違えないで歩くこともできますが、暗くなり、この景色のヒントもなくなると、迷子になってしまいます。
また、とうてい歩いても行けそうにもない距離さえ、歩いて出かけようともいたします。
過去に獲得した記憶を失うという症状まで進行しますと、自分の年齢や人の生死に関する記憶がなくなってまいります。
自分と周囲の人との関係までもが、分からなくなってきます。
たとえば、80才の人が50歳の娘に対し、「姉さん、叔母さん」と呼んで、家族を混乱させます。
また、とっくに亡くなっている母親が心配しているからと、遠く離れた郷里の実家にまで歩いて帰ろうとすることもあるようです。
行政書士 平 野 達 夫
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