保佐人は、民法第13条1項各号に定める行為につき、同意権があります。

また、審判に定められた範囲で代理権があります。


 しかし、同意権、代理権があっても、保佐人と被保佐人の利益が相反する場合、すなわち、保佐人と被保佐人との間で利害関係が生ずるときは、公正な同意権、代理権の行使を期待できないと考えられます。


 そこで、保佐人は、これを行うことができず、保佐人の利益を保護するため、その行為についてのみ、家庭裁判所が選任した「臨時保佐人」が、その同意権、代理権を行使することになります。


 ただし、すでに「保佐監督人」がある場合には、同人がこれらの行為を行うこととされています。

先の「臨時保佐人」なるものは、不要です。


 保佐人と被保佐人が共同相続人である場合の遺産分割や、保佐人の債務を担保するために被保佐人の不動産に抵当権を設定することは、もちろん、保佐人と被保佐人の利益が相反する行為となります。


 したがって、家庭裁判所が選任したところの「臨時保佐人」、若しくは「保佐監督人」が同意権、代理権を行使する必要があります。


 もっとも、「臨時保佐人」が選任されたからといって、どのような内容の行為もできるというわけではありません。

あくまでも、被保佐人の利益保護のために行使することが前提です。


 なお、これらの手続としては、保佐人又は利害関係人から、家庭裁判所に対して、臨時保佐人選任を求める審判の申立てをいたします。


 家庭裁判所は、利益が相反する行為の具体的な内容を考慮して、被保佐人と利益が相反せず、被保佐人のため公正に同意権、代理権を行使できる方を、この「臨時保佐人」に選任いたします。


      行政書士  平 野 達 夫

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