Q 被保佐人の居住用不動産を処分する代理権を付与されています。

売却などの処分をしたいのですが、どうすればよいでしょうか。


A 保佐人が財産管理の代理権のうち、特に不動産処分についての代理権を付与されている場合には、よくよくの注意が必要です。


 保佐人に居住用不動産を処分する代理権があったとしても、あらかじめ、家庭裁判所に、「居住用不動産処分許可」の申立てをし、その許可を得る必要があります。


 被保佐人の居住用不動産とは、被保佐人が居住するための建物又はその敷地などをいいます。


これには、被保佐人が現に住居として使用している場合に限らず、被保佐人が現在は病院に入院したり、施設に入所したりしているために居住していないが、将来居住する可能性があるケースなども含まれます。


 精神上の障害を負っている被保佐人にとって、たとえば、居住環境が変われば、その心身や生活に多大な影響が生じることになりましょう。


 そこで、これらの処分については、特に慎重を期すため、家庭裁判所の許可を得なければならないとされています。


 したがって、保佐人は、家庭裁判所に「居住用不動産の処分許可」の申立てをします。


 この手続は、保佐開始や代理権付与の審判とは別個のものです。

「処分」には、売却、賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定のほか、贈与、使用貸借なども含まれます。


 なお、もし保佐人が、家庭裁判所の許可を得ないで被保佐人の居住用不動産を処分した場合は、その処分は無効になります。


      行政書士  平 野 達 夫

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