被保佐人の負っている債務の弁済


 被保佐人が第三者に対して債務を負っている場合には、保佐人として当然に被保佐人の財産から弁済しなければなりません。


 ただし、「債務」といっても、例えば被保佐人が経済的に困っていた時期に、身内から証書なども作らずに受け取った金員や、贈与なのか借入金なのか法律的な趣旨が曖昧なものもあります。


 したがって、「借りた」相手が金融機関以外の場合で、証書等が残っていない場合については、被保佐人が本当に債務を負っているものかどうか、十分確認する必要があります。


 そのような状況では、弁済する前に、まずは家庭裁判所に連絡するか、保佐監督人に相談してみることです。


保佐事務遂行のための経費


 保佐人がその職務を遂行するために必要な経費は、被保佐人の財産から支出しても構いません。


例えば、保佐人が被保佐人との面会や金融機関に行くための交通費や、事務文具費などがこれです。


 ただし、これらについても、支出の必要性、被保佐人の財産総額に照らして相当な範囲に限られます。


 したがって、この交通費は、原則として電車やバスといった公共の交通機関の料金となります。


高額なタクシー代等については、特別な事情がない限り認められません。よくよくの注意が必要でしょう。


      行政書士  平 野 達 夫

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