Q 後見人は、被後見人と兄弟姉妹の関係にあります。
亡くなった父の遺産分割協議は、どのようにすればよいのでしょうか。
また、後見人が金融機関からお金を借り入れるために、被後見人の不動産に抵当権を設定しなければなりません。
どのようにすればよいでしょうか。
A いずれの場合も、家庭裁判所に、「特別代理人選任の申立」をする必要があります。
後見人は、被後見人の財産を管理するために、財産行為に関する包括的な代理権を与えられています。
しかし、後見人と被後見人との利益が相反する行為の場合があります。
すなわち、後見人と被後見人との間で、利害関係を生じるときです。
この場合、公正な代理権の行使が困難になります。
被後見人の利益を保護するために、その行為についてのみ、家庭裁判所の選任した特別代理人が、代理権を行使しなければならないことになっています。
ここで、後見人と被後見人が共同相続人の場合の遺産分割や、後見人の債務を担保するために、被後見人の不動産に抵当権を設定するケースを考えてみます。
この場合ですと、当然ながら、後見人と被後見人の利益が相反する行為となります。
したがって、特別代理人の選任が必要となってまいります。
もっとも、特別代理人を選任したからといって、どのような処分でも許されるものではありません。
この手続としては、後見人又は利害関係人から家庭裁判所に、特別代理人の選任を求める審判を申し立てることになります。
申立を受けた家庭裁判所は、利益が相反する行為の具体的な内容等を調べます。
被後見人と利益が相反せず、被後見人のため、公正な代理権を行使できる方を特別代理人として選任します。
もちろん、選任された特別代理人は、被後見人の利益を十分守るよう務めます。
例えば、遺産分割ですと、被後見人の取得分が法定相続分を下回らないようにします。
なお、「後見監督人」が選任されている場合は、後見監督人が被後見人を代理することになりますので、特別代理人選任の申立は必要ありません。
行政書士 平 野 達 夫
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