夫婦破綻の原因が日本人配偶者にあるため、未だ離婚が成立していない場合であっても、婚姻関係が実質的に破綻していれば、外国人配偶者の活動は、在留資格「日本人の配偶者等」には該当しません。


たとえ婚姻関係が法的には成立・存続していましても、婚姻の実態を有していない場合には、「日本人の配偶者等」の在留資格の該当性はないとするのが、最高裁判例の立場です。


 ここに、最高裁平成14年10月17日判決を今少し説明いたします。


日本人の配偶者の身分を有する者としての活動を行おうとする外国人は、「日本人の配偶者等」の在留資格を取得することができます。


すなわち、当該外国人が日本人との間において、精神的及び肉体的結び付きを目的とする意思をもって共同生活を営むことが、本来の婚姻の本質であります。


これは、婚姻という特別な身分関係を有する者として、本邦において共同して営み生活しようとすることに基点があります。


 要するに、婚姻関係が法律上存続していも、夫婦の一方又は双方が、既に前述の意思を欠き、夫婦としての共同生活の実体を失い、その回復の見込みさえ得られない状態に至ったときは、当該婚姻は、もはや社会生活上の実質的基礎を失っているものとします。


 すなわち、上記最高裁判決の要旨は、日本人との間に婚姻関係が法律上存続している外国人であっても、その婚姻関係が社会生活上の実質的基礎を失っている場合には、その者の活動は、日本人の配偶者の身分を有する者としての活動に該当することはできないと解するを相当としています。


      行政書士  平 野 達 夫

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