遺産分割の平等とは、どういうことをいうのでしょうか。

いざ分割という段になって、直面する問題です。


財産ごとに平等に分ければいいのか、財産の価格に着目してその評価額が平等にになるように分ければいいのか、払う相続税が同じになるように分ければいいのか、税金を払った後の手取り額が同じになるように分ければいいのかなど、いろいろな平等の方策が考えられるようです。


しかし、ある一つの平等を達成することはできますが、同時に他の平等を達成することは至難のことのようです。


ところで、相続人間での協議によって分割内容が決まりますと、各相続人が納付する相続税を計算することになります。


取得財産の「平等」という遺産分割では、皆が納得であり、何らもめる気配はないように思えてしまいます。


ところがこれには、相続税の差という落とし穴が生じることがあります。

それぞれが同額の財産を相続するにもかかわらず、相続税額に差が出てしまうのです。


税額計算上の特例として「小規模宅地等の評価減」があります。

ここで「小規模宅地の評価減」について少し述べてみましょう。


これは相続や遺贈によって土地を取得したとき、その土地の中に被相続人が自宅として居住していたり、または事業の用に供していた宅地である場合です。


すなわち、その土地が被相続人の生活の基盤になっていたことを考慮して、宅地評価額の一定割合を減額するというものです。


この「小規模宅地の評価減」の特例は、遺産分割が決定した宅地についてのみ受けることができます。


相続税の申告期限もあり、遺産分割がまとまなければ、未分割で申告せざるを得なくなります。

評価減の特例も受けることができなくなって、高い相続税の支払いとなることを覚悟しなければなりません。


したがって、相続税を払った後の各相続人の手取り額が同じになるようにするためには、相続人の一方から、他の相続人への代償金を支払うやり方です。

すなわち代償金を出すことにより、相続人間のの手取り額を同額とする方法です。


この相続人の柔軟な対応により、皆が納得する「平等」を達成できるわけです。

すなわち、相続人皆の思いやりが早い解決へと繋がります。


     行政書士  平 野 達 夫

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