近年、相続でもめるケースが、確実に増えています。

かって、日本の相続は、「家督相続」の制度を採っていました。


長男が家長となり、家の財産を独占的に相続します。

他の者が入ってくることなど、考えられないことでもあったのです。


長男が家と財産を守るというこの理論は、何の抵抗もなく人々に受け入れられ、ごく一般的と言えました。

例えば、墓地などの祭祀継承に係わるものは、すべて家長の財産と見なされていまいた。


それが戦後の民主主義の下では、旧家督制度から新しい相続制度へと変りました。

すべての相続人の権利が、平等に認められるようになりました。


もちろん、これで、すべての日本人の相続のあり方が、一気に変ったわけではありません。

暫くは、未だ家督制度が中心とも言える時代は続きます。


現在のような平等相続が主流となったのは、高度成長期以降とも言えましょう。

その結果、社会状況の推移とともに、長男だから家の跡取りという意識も、微妙に変化してきたと言えます。


こうした、先祖代々の「家」というものに対する意識の変化も、相続争いの大きな要因の一つとも言えます。

すなわち、「家を守る」という意識の変化が、相続争いの大きな要因の一つに発展していったのです。


     行政書士  平 野 達 夫