「遠い海のこと見てほしかった」保安官


これは、今朝16日のある朝刊一面紙上に掲載された、リード文の1行です。

皆様の中にも、ご覧になった方も多くいらっしゃることでしょう。


尖閣諸島沖の中国船衝突を巡る映像流失事件で、今や政府をはじめ、日本中を物議の激風が走っています。

動画サイトに投稿した所属の海上保安官について、国家公務員としての守秘義務違反を問われ、当該機関の捜査がなされています。


16日深夜の会見で、代理人の弁護人から、同人のコメントが読み上げられました。


「事件を起こしたのは、政治的主張や私利私欲に基づくものではありません。多くの人に遠く離れた日本の海で起っている出来事を見てもらい、一人ひとりが考えてほしかっただけです。今回の行動が正しいと信じておりますが、公務員のルールとしては許されないことであったと反省もしております」と述べております。


非常に簡明な、我々日本国民の誰しも、分り易く、スッキリと快く伝わってくるコメントでありましょう。

純粋といえば、純粋過ぎる海上保安官の言葉と受け止めます。


当初の中国漁船非難から、ここのところ日本政府や、マスコミ・メディアまでが、秘密性の欠如や海上保安庁のずさんな情報管理を、専ら指摘しているとさえ思えてしまいます。


若し、皆さんが保安官として巡視船の公務に就き、この事件に遭遇していたと想定してみて下さい。

貴方は、どのような行動を選択されますか。


私は気持としては、所属の保安官と同様な行動を執りたいと思うものはありますが、その場に直面しては、どうだったでしょうか。

それだけの私に勇気があっての行動を執ったかというと、正直なところ分りません。


ただ言えることは、彼の執った行動を責めることは、誰も出来ないでしょう。

自分が国家公務員として、厳格な守秘義務を持つことは、十分了知してのことでしょう。

家族のことも心配です。

きっと彼は悩みましたね。

その心意は、如何なものであったでしょうか。


それが政府であろうと、捜査機関であろうと、責めることは出来ません。

先ずは日本の国益を考え、情報を得ていた政府が速やかに公開に踏み切り、日本国民に、世界に知らしめるべきであったでしょう。

潔しとしない、優柔な政府機関にこそ、その責めを求めるべきものです。

貴方は、どのように考えますか・・・・・・・・。


     行政書士  平 野 達 夫