「円山応挙」といえば、小・中学校の美術の授業などでによく出てきましたので、その名前くらいは知っておりました。

ただ私には、正直なところ、江戸時代の有名な画家くらいの知識です。


先日幸いにも、円山応挙の名作に接する機会を得ました。

その名作・大作の数々が集まるということで、妻と私は、会場の日本橋・三井記念美術館にやって来ました。


美術館の建物・壁の重厚さに加え、明暗や配置などにも工夫をこらし、誰もの見学者の目に、応挙作品の素晴らしさを訴へます。


初心の私の目にも、展示する絵画作品の一つ一つに触れるごとに、ますます昂ぶるものを感じてまいります。


" 円山応挙と空間の創造 "

正しく、応挙の手法は、絵画という一つの平面の中に、奥行きのある立体的な世界を描き出します。

そして更に、「遠近法」を取り入れた画法描写が特徴と言われます。

私の心は、いやようもなくただ、それら画に引き込まれてまいります。


応挙は、若くして狩野派に学び、遠近法を習得した「眼鏡絵」からスタートして、絵画の空間を描く「遠見の絵」、大成期の屏風や襖などの大画作品へと続きます。


広がる豊かな空間を、人間の視覚の中に、ひたすら求めたのでしょうか。

素人の私にも、何だか分ってきたような感じがしてきました。


なかでも注目は、「松に孔雀図襖」と国宝「雪松図屏風」です。

松を描いた水墨画の二大傑作と言われます。

水墨画でありながら、色彩を感じさせる描写です。

その色彩が鮮やかに、今にも目に映りくるものがあります。


ところで、私に大変面白く、愉快に写った作品に、「淀川両岸図鑑」があります。

絵巻には、当時の交通の手段として淀川を往き来する小船や帆船、両岸の人や生活の有様が巧みに、面白く描かれていました。


応挙は、これら作品によって、探幽や永徳らに代表される狩野派の力強い筆法や、広重・北斎の画法をも巧みに取り入れた独特の画法を築き上げました。

江戸中期の絵師としての確固たる名声を、私達の後世に残し置いたものと言えましょう。


この度私は、すっかり応挙の絵画の魅力の世界に魅せられてしまいました。

数々の円山応挙の作品に触れることができ、生きていることの幸せと感動をさえ覚えました。


素晴らしい作品を、ありがとうございました。

皆さんも機会がありましたら、是非、見学されては如何ですか。


     行政書士  平 野 達 夫