「遺言」も一つの意思表示でありますので、遺言の性質に反しない限り、法律行為の無効、取消の適用を受けます。
また、遺言には、無効・取消のほか、一度遺言しても遺言者の生存中は、いつでも自由に、その効力を失わせることができ、撤回することが出来ます。
すなわち、「遺言」は、人の最終意思を尊重して、これに法的な効果を認める法律制度とも言えます。
従がって、一旦、有効になされた遺言も、死亡までの間は、遺言者は、種々の事情から変更したい時に、自由に撤回ができるとします。
遺言者にとって、その撤回が許されないとすれば、かえって制度の趣旨に反するものとなってしまいます。
そこで、次のように規定し、広く撤回を認めています。
先ずは、「本来の撤回」と言われるものです。
これは、前述のように、遺言者は、いつでも、先の遺言を撤回でき、それは全部でも、一部でもよく、自由とするものです。
これを、遺言の「撤回自由の原則」と言います。
ほかに、遺言の法定撤回として、
① 後遺言の優先の原則
② 生前になされた法律行為による撤回
③ 遺言書の破棄による撤回
④ 遺贈目的物の破棄による撤回
などが規定されています。
なお、一度撤回された遺言は、復活することはありません。
また、遺言者による遺言撤回権の放棄は、禁じられています。
行政書士 平 野 達 夫