「遺言」とは、私有財産制の下で、所有財産の処分の自由、すなわち、遺言者の人生最後の意思に従がい、遺言者の死後まで認めていく制度と云えます。


円満な争いのない相続を実現するために、財産を整理し、その分け方を決めて、承継者を決めておく意思表示としての行為です。


満15歳に達した者であれば、誰でも遺言することができます。

未成年者であっても、親権者の同意が要りません。

遺言は、遺言者の死亡の時から効力を生じます。

また、遺言は、必ず書面によるものでなければなりません。

単なる口約束では、法的な効果は生じません。

その書面としての遺言書は、一定の方式を満たすものであることが必要です。


なお、遺言者は、いつでも、遺言の方式に従がって、その遺言の全部又は一部を撤回することができます。

すなわち、日付の異なる複数の遺言書が存在し、前の遺言内容が後の内容と抵触する場合には、遺言で前の遺言を撤回したことになります。


遺言によってできる事項についても、法律に規定されています。

その主なものは、

 ① 相続人の廃除及びその取消 

 ② 相続分についての指定 

 ③ 遺産の分割方法の指定及び遺産分割の禁止

 ④ 遺言執行者の指定 

などです。


ところで、遺言は、なぜ必要なのでしょうか。

そして、どんなときに特に必要となるのでしょうか。


その例として、

 1 子供がいないとき 

 2 先妻の子と後妻がいる 

 3 内縁の妻がいる場合 

 4 相続人がたくさんいる場合 

 5 「寄付」をしたい 

 6 事業の承継がある 

 7 障害者の子と介護の問題を抱えている 

などが上げられます。


遺言は、円満な争いのない相続の実現に向け、更に後々のトラブルの防止に役立ってきます。


     行政書士  平 野 達 夫