相続分の特例としては、「特別受益」と「寄与分」の二つが上げられます。
今回は、この「特別受益」と「寄与分」について、述べてまいります。
先ずは、共同相続人の中には、結婚や養子縁組の際に、多額の持参金や、生計を立てる上での資本などの形で、「財産上の贈与」を受けることがあります。
その様な財産上の贈与を受ける者がある時は、被相続人が相続開始時において有していた財産の価額に、その贈与の価額を加えたものを「相続財産」とみなします。
即ち、この相続開始前に相続人が受けていた贈与などを、「特別受益」と云います。
このような[贈与]や「遺贈」を受けた相続人の相続分は、民法第900条~902条の規定により算定した相続分から、その受けた贈与や遺贈を控除した残価額となります。
また、共同相続人の中で、例えば被相続人が経営する事業に関係して、「労務の提供」や「財産上の給付」などをすることがあります。
更に、被相続人の「療養看護」など、いろいろな方法により被相続人の財産の維持、又は増加などに、特別の寄与をするケースが出てきます。
即ち、相続開始前に受けていた特別の寄与などを、ここでは、「寄与分」と云います。
それら特別の寄与した者があるときは、共同相続人の協議により、被相続人が相続開始時において有していた財産の価額から、その者の寄与分を控除したものを「相続財産」とみなすことになります。
この寄与した相続人については、やはり民法の規定により算定した相続分に、先の寄与分を加えた額をもって、その者の相続分となります。
なお、相続人でない者は、前述の相続分の特例を受けることはできません。
行政書士 平 野 達 夫