「廃除」とは、被相続人の意思によって、遺留分を有する「推定相続人」の相続権を奪う制度であります。

例えば、次の様な事由に当たる場合には、推定相続人であっても、手続を経て相続人としないことができます。


  ① 推定相続人が、被相続人を虐待したとき 

  ② 推定相続人が、被相続人に重大な侮辱を加えたとき 

  ③ 推定相続人に、その他の著しい非行があったとき


 また、相続人の廃除の方法としては、次の二つがあります。

すなわち、 

 1 生前に被相続人が、家庭裁判所に「廃除の申立て」をする

 2 被相続人が「遺言」で、推定相続人を廃除する意思を表示して、その「遺言執行者」が、被相続人の死亡後に、家庭裁判所に「廃除の申立て」をする

というものです。


 なお、相続人の「廃除の効力」は、被相続人の死亡時に遡って生じます。

推定相続人としての被廃除者は、初めから相続人とはならなかったことになります。


 ただ「廃除の取消」については、民法第894条に規定されております。

被相続人は、いつでも廃除の取消を、家庭裁判所に請求することができます。

また、被相続人がその旨の意思の表示をして、「遺言」により、廃除の取消をすることもできます。


    行政書士  平 野 達 夫